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"やさしい義母の消しゴム" 第4話

それを隠し通すため、そして最終にその借を押し付けるために、彼女は「何もらない、反論もできない無職の嫁」を必としていたのだ。

私を社会に孤させ、精神に無力化し、の私物を消して「麻美」というの尊厳を奪う。 そうして完全に飼い慣らしたで、この千万円の借を背負わせるつもりだったのだ。

「――麻美ちゃん、何をしているの?」

から、氷のようにたい声が響いた。

振り返ると、ベランダのドアをけた真由美さんが、恐ろしいほど無表ち尽くしていた。

私はバッグから素し、元に落ちていた綿ごみを拾いげるフリをした。

「あ、お義母さん。バッグの脇に糸くずがついていたので、取ろうとして……すみません、勝に触ったりして」

私は申し訳なさそうにを縮め、拾ったゴミを真由美さんに見せた。

真由美さんはじっと私の目を見つめていた。数秒の、刺すような沈黙。 やがて、彼女の顔にふっといつもの「優しい笑み」が戻った。

「あら、ごめんなさいね。私ったら、話でしイライラしていたものだから。掃除をしてくれてありがとう、麻美ちゃん」

真由美さんはバッグを引き寄せると、ファスナーをぴっちりと閉めた。 だが、その目は笑っていなかった。彼女ので、私に対する警戒のスイッチが入ったのが分かった。

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その夜。 帰宅した哲也は、真由美さんが残していった豪華な刺盛りわせを突きながら、満そうに言った。

「やっぱり母さんはすごいよな。おの体調を配して、こんない刺まで買ってきてくれるんだから。おさ、今もお礼言ったか?」

「ええ、言ったわ」

私は静かに答えた。

「ねえ、哲也さん。お義母さんって、何か困っていることとかないのかな? 今し焦っているように見えたけれど……」

「は? 母さんが困るわけないだろ。元教師で、退職もしっかりあって、所のからも尊敬されてるんだぞ? おみたいな無職の配をする暇があったら、自分の配をしろよ」

哲也は吐き捨てるように言い、醤油をたっぷりつけたマグロをに放り込んだ。

目ので能気にビールをむ夫。 そして、もまたこのにやってきて、私を「消」しようとする義母。

千万円の連帯保証。 普通なら、血の気が引いて泣き叫ぶ面だろう。

だが、私の胸のにあったのは、恐ろしいほどの静けさだった。

(お義母さん。あなたはきな勘違いをしている)

真由美さんは、私が「卒で無な、実ろ盾もないれな女」だとい込んでいる。 私が結婚に、自分の族かられ、旧姓を伏せて静かに暮らしていた理由を、彼女は何もらない。

私は自のクローゼットの奥、義母が決して届かない所に隠してある、さなスマートフォンにいを馳せた。

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そこには、私の実――代々続く法律事務所と、資産管理信託のトップである父の連絡先が入っている。

「哲也さん、お醤油、す?」 「おう、頼むわ」

私は微笑みながら、夫の皿に静かに醤油を注いだ。

真由美さん。 あなたが私に捺させたその千万円の判印が、あなたのを破滅させる「引き」になることに、く気づくといいわね。

翌朝、真由美さんはいつも以嫌よく現れた。

「麻美ちゃん、おはよう。昨は嫌なところを見せちゃってごめんなさいね。私ったら、いの保証の件でし混乱していたの」

真由美さんはにした買い物袋から、淡いグレーのチュニックを取りした。

「これ、所のブティックで見つけたのよ。今の麻美ちゃんにぴったりの、落ち着いたデザインでしょう? ほら、羽織ってみて」

差しされたのは、配の女性が好むような、仕ての粗いだった。 私はそれを両で受け取り、げた。

「……ありがとうございます、お義母さん。私、最自分でおを選ぶのも自信がなくなっていたので……本当に助かります」

声をし震わせ、自信なげに目を伏せる。 真由美さんの元が、満げに歪むのを私は見逃さなかった。

「いいのよ。麻美ちゃんは何も配しなくていいの。も、事も、おの管理も……全部、このお母さんに任せておけばだからね」

真由美さんは私の髪を優しく撫でた。

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