"「一円もやらない」姑と二十六億円の遺言" 第19話
私は苗さんを見据えた。
「お義母様。あなたは私の父を誘惑して会社を乗っ取ろうとし、失敗して追いされた。それが真実ですよね」
苗さんはを塞いで叫んだ。
「やめて、やめてちょうだい」
私は言葉を続ける。
「追いされたあなたは、父の親友だったお義父様に取り入った。そしてお義父様ののさにつけ込み、私の父を裏切らせ、会社を奪うように仕向けた。あなたが今まで誇ってきた佐藤の繁栄は、全てあなたがかつて盗もうとして失敗した、私の父の遺産の残骸のに築かれたものだったんです」
苗さんは狂ったように笑いした。
「違う。私は、私は選ばれたのよ。あの男、誠が私を選ばなかったのが違いだったのよ」
その目はもはや正気とはえないを放っていた。
苗さんは激しく叫ぶ。
「だから私は、あの男がんだ、その全てを奪ってやった。ざまあみろよ。娘のおが私のでいつくばって尽くしている姿を見るのは最の気分だったわ」
ついに彼女は化けの皮を剥がした。
これが彼女が30隠し持っていた、醜悪な本性だった。
私は淡に告げた。
「そうですか。本が聞けてよかったです」
その、入りに恵子さんと美咲さんがっていることに気づいた。
彼女たちは、今の苗さんの叫びを全て聞いていたようだ。
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恵子さんの声は震えていた。
「お義母様、今のはどういうことなのよ」
恵子さんは絶望な表で苗さんを凝する。
「お義母様は名のお嬢様じゃなかったの。棒だったの。私たちが誇りにっていたこののルーツが、そんなただの嫌がらせから始まったものだったっていうの」
美咲さんも信じられないというように苗さんを見つめる。
彼女たちがすがっていた佐藤が、実は詐欺と裏切りによって捏造された砂の楼閣であったこと。
最悪の形でることになったのだ。
苗さんは娘のようにがってきたに助けを求めた。
「恵子、美咲。この女が、ゆきが私を殺そうとしているのよ。助けて」
しかし彼女たちは歩もかなかった。
恵子さんが乾いた笑いを漏らす。
「助ける?どうやって。私たちもう何も持っていないのよ」
恵子さんは苗さんを睨みつける。
「お義母様がくれた16億円のは差し押さえられただけじゃなく、建物の欠陥が見つかって取り壊し命令がたわ。その費用数千万円も私たちが払わなきゃいけないのよ。だって毒物が見つかって売ることもできない。お義母様が私たちにくれたのは財産じゃない。ただの爆弾だったじゃない」
美咲さんも苗さんのベッドに駆け寄り、布団をはぎ取った。
「そうよ。お義母様のせいで私たちのはめちゃくちゃよ。
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おをして。隠してるんでしょう。あなたのせいで夫さんは逮捕されたのよ。私をこんな目にわせておいて、自分だけ病院で寝てるなんて許さないわ」
苗さんは鳴をげる。
「やめて。苦しい、苦しいわ」
かつて級個で贅沢を極めていた義母が、今や自分が甘やかしてきた嫁たちに罵られ、引きずりされようとしている。
それはあまりにも皮肉で凄惨な景だった。
私はその様子を静かに見つめながら、最に最の事実を突きつけた。
「皆様、最にお教えしておきます。お義父様はくなる直に、この事態を全て予測していました。だからこそあの16億円のと10億円のを、あえて負債として残し、あなたたちがびつくように仕向けたのです」
が斉に私を見た。
私は静かに続ける。
「お義父様は仰っていました。罪を犯した者は、その罪の報いによって滅びるべきだと。お義母様、あなたが私の父から奪ったものは、最初から呪われていたのです。そしてその呪いを引き継いだ恵子さんと美咲さん。あなたたちは自分たちの欲によって、お義父様が仕掛けた罠に自らび込んだのですよ」
苗さんの瞳から、最のが消えた。
夫にされていると信じ込み、その権力を使って嫁たちを支配してきた彼女にとって、夫が自分を裁くための罠を仕掛けていたという事実は、よりも残酷な撃だった。
私は背を向けた。