"「一円もやらない」姑と二十六億円の遺言" 第14話
それから、もう特別な痛み止めはせませんよ。保険適用の範囲内の薬に切り替わっていますからね」
護師さんの言葉に、苗さんは絶望の表を浮かべた。
昨まで彼女は、この病院の最患者として王妃のような扱いを受けていたのだ。
それが今や、ただのうるさい老のに成りがっていた。
そこへ、騒がしい音がづいてきた。
カーテンを乱暴にけて入ってきたのは、顔を真っ赤にした恵子さんと美咲さんだった。
彼女たちは警察での事聴取を終え、に解放されたものの、その表には余裕の欠片もない。
恵子さんが病であることを忘れ、鳴り声をげた。
「お義母様、ちょっとどういうことなのよ」
苗さんは顔をしかめる。
「何よ、やかましい。私だってこんなに苦しんでいるのに」
恵子さんは苗さんに詰め寄った。
「苦しんでるのはこっちの方よ。さっきから連絡があったの。16億円の、お義母様が勝にホワイトリーフ社に担保に入れてたせいで、私たちが勝に売ることもできないじゃない。それどころか未払いの固定資産税の督促状まで来てるのよ」
美咲さんも泣きしそうな顔で詰め寄る。
「私の方だってそうですわ。10億円のだなんて言っておきながら、再発が止になったせいで今やただのゴミ捨て同然の価値しかないって産に笑われたんです。
広告
その、壌汚染の調査費用で数千万円かかるって。お義母様、私たちを騙したのね」
苗さんは震える声で弁した。
「何を言っているの。あれは、あのくなったお父様が最の宝だって言っていたのよ」
しかし彼女自も、夫が残した本当の図を理解していなかった。
夫は自分がった、この族がどうくかを全て見越していたのだ。
恵子さんはベッドの柵を激しく叩いた。
「お宝?笑わせないで。ただの借まみれのよ。このままじゃ私たち、自己破産するしかないじゃない」
その、病の入りにのスーツ姿の男性が現れた。
健さんの弁護士である。
弁護士は々しい調で告げた。
「皆様落ち着いてください。非常に悪いらせがあります」
恵子さんがすがるように尋ねる。
「弁護士さん、どうなったの。健さんの横領の疑いはれたんでしょう」
弁護士は首を横に振った。
「税務署と検察が、ホワイトリーフ社から提された過10の裏帳簿を精査した結果、健様と夫様が会社の資から私に引きした額の証拠が完璧に揃ってしまいました。その額、延滞税を含めるとおわせて20億円を超えます」
その数字を聞いた瞬、病が静まり返った。
いつのにか病の入りまで来ていた健さんが、力なく壁に寄りかかった。
広告
「に、20億……そんなの払えるわけないだろう」
弁護士は容赦なく続ける。
「払えなければ、当然全財産が差し押さえられます。今おまいの、お持ちの、級計、ブランド品、全てです。それでもりなければ、刑事罰として実刑を免れるのは難しいでしょう」
恵子さんが狂ったように叫んだ。
「実刑?刑務所にくっていうの。そんなの嫌よ。私は佐藤の男の嫁なのよ」
彼女たちは今まで自分たちが享受してきた贅沢が、全ての財布から盗んだおであったことをようやく突きつけられたのだ。
美咲さんが苗さんの肩を掴んで揺さぶった。
「お義母様、お義母様がなんとかしてよ。隠し座があるんでしょう。してよ、今すぐ」
苗さんは鳴をげる。
「ないわよ。そんなのあるわけないでしょう。おは全部、あなたたちの結婚式や旅の費用に消えたのよ」
美咲さんは泣き叫ぶ。
「嘘よ。嘘に決まってるわ。お義母様だけ助かろうなんて、そんなの許さない」
醜い罵りいが般病棟の静寂を切り裂く。
かつては銭覚や柄をにしていた彼女たちの化けの皮が剥がれ、むきしの欲望と恐怖が渦巻いていた。
そこに、私はゆっくりと姿を現した。
私の姿を見た瞬、彼らの目に最の希望のようなが宿った。
恵子さんがなりふり構わず私の元に膝をついた。
「ゆきさん、ゆきさん、お願い。あなたがあのホワイトリーフ社の社なんでしょう。