"「一円もやらない」姑と二十六億円の遺言" 第11話
やがて、見慣れた豪邸のが見えてきた。
しかし、そこにはすでに異変が起きていた。
恵子さんは目を丸くした。
「な、何よこれ。なんでこんなにが止まってるの」
のには黒塗りのワンボックスカーが数台、そしての周囲を取り囲むように数の男たちがっていた。
彼らは警備員ではなく、全員が腕に国税局の腕章を巻いている。
美咲さんが絶望な声をげた。
「う、嘘でしょう。もう税務署が来てるの」
恵子さんはをびした。
恵子さんは男たちに向かって鳴りつける。
「どきなさいよ。ここは私のよ。に私物があるの。それを取りに来ただけよ」
恵子さんがを引にけようとしたが、そこにち塞がったのはの若い調査官だった。
調査官は毅然とした態度で告げる。
「申し訳ありませんが、本物件は現、株式会社ホワイトリーフの申して及び税務当局の調査により、全資産の保全措置が取られています。許なくち入ることはできません」
恵子さんは調査官の胸ぐらを掴もうとを伸ばした。
「何言ってるのよ。私はこのの持ち主になるはずのよ。どきなさい。どけって言ってるのよ」
そのだった。
「おやめなさい。見苦しいですよ、恵子さん」
落ち着いた、しかし凍りつくようなたい声。
建物のから姿を現したのは、私だった。
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私のろには数の作業員が控えている。
恵子さんは私を睨みつけた。
「あんた、なんでここにいるのよ」
私は淡々と答える。
「ここは私の会社の管理物件ですから、当然でしょう。今、お義父様の遺品理と資産の棚卸しを始めているところです」
恵子さんはヒステリックに叫んだ。
「遺品理だなんて勝なことしないで。の庫のは、お義母様が私たちにくれるって約束したのよ。それは私たちのものよ」
私はただ、れみの線を向けるだけだった。
「お義母様がですか?でも残ながら、お義母様もその庫のを正確にはごなかったようですね」
私は元のリモコンを操作した。
すると、な玄関のシャッターがゆっくりとがっていく。
私は静かにを空けた。
「何をするつもり?に入りたいのでしょう?どうぞ、お入りください。ただし、調査官の方々のち会いのもとで、ですが」
恵子さんと美咲さんは顔を見わせて、にやりと笑った。
恵子さんは声でつぶやく。
「馬鹿ね、ゆき。自分からに入れるなんて。今のうちに目のものを……」
そんな浅ましい考えが透けて見えるようだった。
は競うようにのに駆け込み、目散にへと続く隠し階段へ向かった。
私は静かにそのを追った。
の奥、な鋼鉄製の扉が鎮座している。
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恵子さんは震える指で暗証番号を打ち込んだ。
ピリッ、カチリ。
子音が響き、い扉がゆっくりとく。
はそのに広がる宝のを像して息をんだ。
しかし、扉の向こう側にあったのは、宝でも塊でもなかった。
そこにあったのは、壁面を埋め尽くすほどの膨な数のファイルと数台のサーバー。
そして部の真んに置かれたさなテーブルのには、通の封筒が置かれていた。
恵子さんは狂ったように棚をひっくり返し始めた。
「な、何よこれ。塊は?私のサファイアのネックレスはどこにあるのよ」
しかし、てくるのは全て類だけだった。
それらは佐藤が過30にわたってってきた、あらゆる透な取引、裏作、そして親族たちへの正な送を完璧に記録した、いわば佐藤の血そのものだった。
私はテーブルのの封筒をにとり、静かに語り始めた。
「お義父様は仰っていました。もし族が欲に目が眩み、この庫を無理やりけるが来たら、それはこのが滅びるだと」
私はを見据えた。
「ここにあるのは、皆様が会社から活費として引きし、遊興費に当てていた全記録です。お義母様が宝を買うために使ったおも、お兄様がギャンブルでこしらえた借を肩代わりした証拠も、全てここに揃っています」
美咲さんがへなへなとそのに座り込んだ。
「そ、そんな……」
彼女たちが求めていたのは富だったが、そこに用されていたのは彼女たちを社会に抹殺するための証拠だったのだ。