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"「一円もやらない」姑と二十六億円の遺言" 第9話

『うぅ……』

スピーカーから漏れ聞こえてきたのは、義母、苗さんの血を吐くようなうめき声だった。

恵子さんが声を荒らげる。

「な、何よ、その帳。そんなのただの落きでしょう。でたらめよ、でたらめ。嘘言って私たちを脅そうなんて無駄よ」

恵子さんは必に叫んだが、その指先は刻みに震えていた。

調査官は無言で私の帳を受け取ると、数ページをめくり、隣に座る部に目配せをした。

調査官は厳しい声で告げる。

「確かに、具体付と座番号、そして引きしの目まで詳細に記されていますね。これらが事実であれば、贈与税の未申告どころか、会社の資産を私に流用した横領の疑いもてきます」

調査官の言葉に、健さんと夫さんは顔を見わせ、言葉を失った。

さんの声は、もう号ではなく怯えを含んだかすれ声になっていた。

「ゆき、お、いつのにこんなものを……」

私は静かにがり、窓のを見つめた。

ここからは、かつて義父がした庭園が見える。

私は窓辺にったまま、背の彼らに向かって語りかけた。

「お兄様、私がこのに来てからの10、何を見てきたとっているのですか」

私はゆっくりと振り返った。

「皆様がを買い替え、ブランド品に囲まれ、華やかな活を送っている、お義父様と私は傾きかけていた会社をて直すために必でした。

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これが私の秘密の始まりです」

私は彼らの目をずつ見据えた。

「10、私が次男の彦と結婚した、佐藤産会社はバブルの遺症と放漫経営で倒産寸の状態にありました。当男の健さんも男の夫さんも会社の役員に名を連ねていながら、仕事は秘任せ。自分たちは交際費と称して毎晩のようにみ歩いていました」

私は義父の孤独な姿をし、胸を痛めた。

「お義父様は孤独でした。自分の息子たちが会社をい潰すだけのだと気づいたのあの絶望した顔。私は忘れません」

私は真っ直ぐに彼らを見据えた。

「お義父様は私に賭けたのです。私が経理の資格を取り、法務を学び、夜まで帳簿と格闘している姿を見て仰いました。『ゆきさん、君だけがこのの良だ。君に佐藤の全ての未来を預けたい』と」

夫さんが吐き捨てるように言った。

「ふん、そんなのただの綺麗事だろ。父さんはボケてたんだ」

私は静かに首を振った。

「お義父様はくなる直まで、誰よりも聡でした。そして、ある仕掛けを施したのです」

私は恵子さんと美咲さんを見た。

「恵子さん、あなたがに入れた16億円の。美咲さん、あなたがに入れた10億円の。それらがなぜ今の今までお義母様の名義のままだったか、考えたことはありますか」

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恵子さんが怪訝そうに答える。

「ええ、それはお義母様がずっと握ってさなかったからでしょう」

私はややかに告げた。

「いいえ。お義父様の遺言によって、特定の条件を満たさない限り、それらの資産はに譲渡できないようにロックがかかっていたのです」

私は言葉を区切り、彼女たちの反応を待った。

「そして今、お義母様が私をと呼び、財産を渡さないと宣言した瞬、そのロックが解除されました」

私は机のにもう通の古い封筒を置いた。

「お義父様が残した、本当の公正証遺言です」

私はその遺言の文面を読みげた。

「そこにはこう記されています。『妻苗並びに男、男が、次男嫁ゆきに対し当な差別や侮辱をい、族としての絆を断ち切る言確に取った、全ての産資産の管理権は株式会社ホワイトリーフにに移管する』と」

の顔が驚愕で歪んだ。

私は淡々と事実を突きつける。

「つまり、お義母様が私に1円もあげないと言い放ち、皆様がそれを支持したあのアナウンス。あれが条件発のスイッチだったのです」

私は類を指差した。

「今、そのも、すでに法律は私の会社の所物となっています。皆様が持っている権利は、その権利が消滅したことを示す、ただの記録に過ぎません」

これは、義父と私が数かけて練りげた、あまりにも酷であまりにも公正な復讐の計画だった。

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