"「一円もやらない」姑と二十六億円の遺言" 第8話
調査官は徹な目で私を見つめた。
「ゆき様、これだけのご親族がを揃えて正を訴えておられる。事実関係を確認する必があります。ひとまず、ホワイトリーフ社の全座、並びに過5の帳簿の任提をお願いできますか」
私は調査官の目を真っ直ぐに見返した。
「今すぐですか」
調査官は厳格な声で告げる。
「拒否されるのであれば、裁判所から捜索差押許状を取り、制捜査に切り替えることになります。その、病院側にもなご迷惑がかかることになりますが」
私は窮にたされた。
今帳簿を差しすことにやましいことはない。
しかし、調査のために座が凍結されれば、会社の運営はもちろん、義母の延命に欠な未承認薬の調達ルートも完全に閉ざされてしまう。
それは義母のをする。
健さんが歩踏みし、私の顔のすぐそばで鳴った。
「観しなさい。おがやってきたことは全部お見通しなんだよ」
健さんは悪く角をげる。
「おが盗んだ株を俺たちに返せば、しはを加えてやってもいいぞ。どうだ?今すぐ類をけ。それがおに残された唯のだ」
彼らの狙いはこれだった。
税務調査という圧力を利用して、私から会社の権利を奪い取ろうとしているのだ。
彼らは本気で私が正をしているとい込み、それをネタに脅迫してきている。
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私はく息を吐き、膝ので拳をく握りしめた。
周囲の線が刃物のように突き刺さる。
調査官の疑いの目、親族たちの嘲笑、そして院の。
これまで築きげてきた信頼が、音をてて崩れていくような覚に陥った。
私はゆっくりと顔をげた。
「分かりました」
私がさく呟くと、健さんたちの顔に醜い笑みが浮かんだ。
健さんは勝利を確信したように言う。
「ほう。認めるんだな。さっさとサインしろよ」
私は首を横に振った。
「いいえ。帳簿の提に応じると申しげたのです」
私は調査官に向き直り、きっぱりと告げた。
「ただし、1つだけ条件があります」
夫さんがで笑った。
「条件だと?おにそんな権利があるとっているのか」
私は夫さんを無し、調査官を真っ直ぐに見据えて言った。
「私への調査をうのであれば、同にそちらにおられる男夫婦への贈与の調査も並してってください」
調査官はわずかに眉をかした。
私はさらに言葉をねる。
「彼らが受け取った16億円のと10億円の、その取得経緯と、これまでに義母から受け取った数億円に及ぶ資援助の全容を全てらかにしてください」
瞬で、部の空気が凍りついた。
健さんたちの笑みが消え、顔面が蒼になっていくのがに取るように分かる。
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健さんはしどろもどろになりながら反論した。
「な、何を言ってるんだ。俺たちのは正当な贈与だ」
私は静に問い詰める。
「正当であれば、贈与税を全額納めているはずですよね。16億円のであれば数億円の税が発しますが、恵子様、納税通はお持ちですか」
恵子さんは慌てて目を泳がせた。
「そ、それはこれからお義母様が払ってくれる予定で……」
私はすかさず指摘する。
「贈与税を贈与した本が払う。それはさらなる贈与にあたりますが、その分の申告もされているのですか」
私は鞄のから、冊のさな帳を取りした。
それは義父からに託されていた、族への送記録の全容が記された秘密のメモだった。
私はその帳を調査官に差しした。
「調査官様。ここに、彼らが過10にわたって義母を介し、会社の運転資から私に引きさせた額の全てが記録されています。その額、計で12億円を超えます。これらが全て無申告である疑いがありますが、いかがいたしましょう」
調査官の目が、獲物を見つけた猛禽類のように鋭くった。
「ほう、12億円ですか。それは聞き捨てなりませんね」
は瞬で逆転した。
私を追い詰めていたはずのが、今や自分たちが仕掛けた罠にかかり、血の気を失って震えている。
しかし、物語はここで終わりではなかった。
このやり取りを、病のモニター越しに全て見ていた物がいたのだ。