"「一円もやらない」姑と二十六億円の遺言" 第7話
当院の特別支援者であるゆき様に対し、これ以の侮辱を続けるのであれば、即刻警察に通報し入り禁止の措置を取らせていただきます」
健さんは戸惑いの声をげた。
「と、特別支援者?こいつが?」
院は厳かに頷いた。
「様です。ゆき様はこの病院に額の寄付をされているだけでなく、しいがん治療センターの設にも尽力されている恩なのです」
院はうやうやしく私にを譲る。
「さあ、ゆき様。苗様の件で至急お話ししたいことがございます。こちらへ」
私は呆然とち尽くす健さんと夫さんに、最の言を投げかけた。
「おとも、お義母様の今のこと、しっかり話しっておいてくださいね。あ、それから、先ほど受付でエラーになった入院費の分、約800万円。までに支払われない、お義母様は制退院となりますから」
夫さんが青ざめた顔で叫ぶ。
「はっ?800万?そんなすぐに用できるわけないだろう」
私はややかに笑いかけた。
「16億円のと10億円のがあるのでしょう。ならば、それを売ればよろしいのでは。まあ、売れるものなら、ですが」
私は背を向け、院と共にエレベーターに乗り込んだ。
閉まるドアの際に見えた、の絶望に染まった顔。
それは今まで私が受けてきた無数の侮辱に比べれば、あまりにもさな代償にえた。
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しかし、院の部に向かう途、私はある違を覚えた。
先ほどの黒いスーツの男たちが、院の部にしてはあまりにも鋭すぎる目つきをしていたからだ。
私は歩きながら尋ねた。
「院、あの男性たちは……」
院はを止め、し申し訳なさそうに言った。
「実は、ゆき様。税務署の調査官が、苗様の資産状況について確認を求めて参っております」
私はわずかに目を見いた。
「税務署、ですか」
院のな扉の向こうで待ち構えていたのは、鋭いを放つの男たちだった。
彼らの元には、分い資料の束が置かれている。
がみて、名刺を差しした。
「突然の訪問、失礼いたします。国税局査察部の者です。本は、くなられた佐藤輔様及びその妻苗様の資産運用、並びに株式会社ホワイトリーフの資流用に関する調査でお伺いしました」
リーダー格とわれる初老の男性が淡々と告げた。
その言葉に、私はわずかに背筋が凍るのをじた。
義父から会社を引き継いだ際、全ての続きは適法にったはずだ。
しかし、国税局がくということは、何かな疑いがかけられていることをする。
私は落ち着きを払い、静かに問い返した。
「資流用とはどういうことでしょうか。私は法に基づき適切に管理しておりますが」
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私が子に座ると、男は通の類を差しした。
「昨、匿名での告発状が届きましてね。内容は、ゆきという嫁が認症にい状態の義父をたぶらかし、会社の株式を正に取得した。さらに義母の入院費を名目に、額の使途を作っているというものです」
私は絶句した。
「そんな馬鹿な……」
義父が私に全てを託したのは、彼が末期の病にありながらも、驚くほど静な判断力を保っていただ。
それをたぶらかしただなんて。
その、院のドアが乱暴にけられた。
「先、失礼しますよ」
入ってきたのは、血相を変えた健さんと夫さん、そして恵子さんと美咲さんだった。
彼らは調査官の姿を見るなり、これ見よがしに私を指差した。
健さんが勝ち誇ったような声をげる。
「ほら、やっぱりいたぞ。調査官さん、こいつですよ。うちの父さんの財産を根こそぎ盗んだ棒女は」
恵子さんもハンカチで目元を拭うふりをしながら、わざとらしい鳴をげた。
「怖いわ。ゆきさん、お義母様の治療費を突然止めたのも、証拠隠滅のためだったのね。おがりなくなったからお義母様を見捨てて逃げようとしたんでしょう」
美咲さんもヒステリックに叫ぶ。
「そうですわ。私たちがもらったやだって、ゆきさんが何か細をして借まみれに仕組んだに違いありません。
調査官さん、くこの女を連れてってください」
の罵声が狭い内に響き渡り、院も困惑した表でち尽くしていた。