"「一円もやらない」姑と二十六億円の遺言" 第5話
しかし、私はその背に声をかけた。
「美咲さん、無駄ですよ」
美咲さんがを止め、恐る恐る振り返る。
「何が無駄なのよ」
私は彼女を真っ直ぐに見つめ返した。
「あなたが頂いたあの、商業として10億円の価値があるとおっしゃいましたが、それは再発が予定通りめばのお話です。実はあのエリア、あるな問題が見つかって発計画が撤回されたのをごですか」
美咲さんの目がきく見かれた。
「え……」
私は淡々と事実を告げる。
「質調査の結果、規模な盤沈の恐れがあることが判したんです。今あのを売ろうとしても、10億円どころか1億円でも買いはつきません」
私はさらに言葉を続けた。
「むしろ建物の解体費用や壌汚染の対策費で、持ちしの方がくなる呪いのですよ」
美咲さんの顔が、みるみるうちに気に変わっていく。
美咲さんはうわ言のように呟いた。
「う、嘘よ。お義母様は、あそこが番の宝物だって……」
私は静かに微笑んだ。
「お義母様も騙されていたのでしょうね。さて、おとも、16億円のと10億円のをにされた勝ち組の皆様。これからお義母様の治療費、額400万円をどう面てされるおつもりですか」
私は静かに微笑みを浮かべた。
その微笑みは、彼女たちにとっては悪魔の嘲笑に見えたことだろう。
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恵子さんは力なくそのに崩れ落ちた。
つい数まで、私を無文のと蔑んでいた面はどこにもない。
恵子さんは扉越しに私に向かってを伸ばした。
「ゆきさん、お願い、助けて。私が悪かったわ。言いすぎたわよ。あなたは族じゃない、義理の妹なんだから。見捨てるなんてひどいことしないで」
恵子さんが私のを掴もうと必にを伸ばすが、私は歩ろにがった。
私はたい目で見ろす。
「族?お義母様がはっきり仰いましたよね。あなたはだと。そしてあなた方もそれに賛同された。私はのの計にをすほど躾ではありません」
私はたく告げると、元のスマートフォンで警備会社に連絡を入れた。
「今から敷内に法侵入者が現れる能性がありますので、巡回を化してください」
恵子さんが泣き叫ぶ。
「ゆき、待ちなさいよ。ちょっと」
わめき散らす義姉たちを無して、私は自分のへと乗り込んだ。
エンジンをかけ、を発させる。
バックミラーに映る彼女たちの姿は、もうセレブな奥様ではなく、ただの欲にまみれたれな姿だった。
をらせながら、私はスマートフォンの画面に表示されたもうつのメールを確認した。
それは、病院の主治医からの緊急連絡だった。
『苗様の病状に変化がありました。
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識はありますが、非常に錯乱されております。それと、病院の会計のことで親族の方から抗議が来ているのですが』
私はハンドルを握りながら首を傾げた。
「抗議?」
恵子さんも美咲さんも、ここ佐藤のにいるはずだ。
としたら、病院で騒いでいるのは体誰なのか。
私は、まだ誰も気づいていない第の資産のをいし、アクセルを踏み込んだ。
病院のロビーにを踏み入れると、そこには異様な景が広がっていた。
静寂が守られるべき病院の受付カウンターので、の男が鳴り声をげていたのだ。
は恵子さんの夫であり、男の健さん。
もうは美咲さんの夫である、男の夫さん。
私の夫である次男の彦は、現のプロジェクトで期張のため、ここにはいない。
健さんが受付の女性スタッフに詰め寄っていた。
「おい、どういうことだ。さっきまで使えていたカードが、なんで止まってるんだ」
健さんの顔はりで真っ赤になり、周囲の患者たちがげに彼らを見ている。
受付の女性スタッフは困惑しながらをげた。
「申し訳ございません。当院のシステムではなく、カード会社側で承認がりていないようでして」
健さんはカウンターを叩いた。
「ふざけるな。俺のカードだぞ。限度額だって分あるはずだ」
そこへ夫さんも加勢する。
「僕の方も同じだよ。お袋の入院費の差額を払おうとしたらエラーがた。