"「一円もやらない」姑と二十六億円の遺言" 第3話
医事課は首を横に振り、静かに事実を告げた。
「いえ、そうではなく。本件の支払い責任者である、ゆき様のご名義で、本を持ちまして全ての支援プログラム及び特別病の契約を解除するとの正式な通が届いたのです」
恵子さんと美咲さんが、驚いたように顔を見わせた。
恵子さんはちがり、鋭い声をげる。
「課さん、ちょっと待ちなさいよ。ゆきさんって、あの、さっき帰った次男の嫁のこと?なんであの子が支払いの責任者なのよ。あの子は無文のはずでしょう」
医事課はタブレットを操作しながら、静に答えた。
「いいえ。こちらの特別病の入居1000万円、及び毎の治療費、そしてから取り寄せている未承認薬の費用、額にして約400万円。これらは全て、ゆき様が個で契約されている事信託基から全額支払われておりました」
苗さんの顔から、みるみるうちに血の気が引いていく。
彼女は震える声で尋ねた。
「事信託?何なのよ、それは。私の夫が残した遺産で払っていたんじゃないの」
医事課は申し訳なさそうに線を落とした。
「くなられた輔様のご遺産は確かに額でございましたが、苗様がこれまでに使われた活費や、男様、男様への贈与で、現資産はほぼ底をついているはずですが、ごなかったのですか」
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病に衝撃がった。
16億円のをもらった恵子さんも、10億円のをもらった美咲さんも、自分たちがもらったのは産というかせない資産であり、維持費や税がかかるものだということにまだ気づいていない。
そして何より、苗さんの命を繋いでいる毎400万円もの現がどこから湧いてていたのか、彼女たちは度も疑問に持ったことがなかったのだ。
恵子さんは取り乱したように叫んだ。
「そ、そんなはずないわ。ゆきはただの主婦よ。どこにそんなおがあるっていうの」
医事課は淡々と業務の説を続ける。
「さあ、私どもは契約に基づき処理をうのみです。つきましては、本に今の支払い保証をご変更いただくか、さもなければ般病棟への転棟をお願いすることになります」
医事課は礼すると、さらに酷な言葉を続けた。
「あ、それから、現投与の最先端がん治療薬ですが、これもゆき様が提供元である製薬会社の株主として、個な提供という形でめていたものです。支払い止と同に、投与も止となりますのでご承ください」
苗さんは声にならない鳴をげた。
「ええっ……」
その薬をやめれば、自分の病状が気に悪化することをっているからだ。
その、苗さんのスマートフォンが震えた。
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画面に表示されたのは、私からのメッセージだった。
苗さんは震えるで画面を覗き込む。
『お義母様、先ほど全ての支援を終させていただきました。これからは、とを引き継いだ恵子さんと美咲さんが、その莫な資産を使ってお義母様を支えてくださるはずです。どうぞ、お幸せに。ゆき』
苗さんのが震え、スマートフォンがベッドのに滑り落ちた。
苗さんはうわ言のように呟く。
「ゆき、あの子、何よ……」
恵子さんと美咲さんは、自分たちの元にある権利をく握りしめた。
しかし、その切れが義母の治療費を瞬で解決してくれるわけではないことに、ようやく気づき始めたようだ。
恵子さんは引きつった笑顔を苗さんに向けた。
「お義母様、丈夫ですよ。私たちがついていますからね。ねえ、美咲さん。あなたのを売ればおになるでしょう」
美咲さんは驚いたように歩ずさりした。
「え、何言ってるんですか、恵子さん。お義母様のを担保にすればいいじゃないですか」
先ほどまでの麗しい義姉妹の絆に、くも亀裂が入り始める。
その景をにして、私は別の所にいた。
私は病院の向かいにあるカフェで、ゆっくりとコーヒーをんでいた。
窓のには、義母が入院している病院の豪華な観が見える。
私は静かに微笑みながら、独り言をつぶやいた。
「さて、次は何を失うのかしら」
私は鞄のから、もう通の類を取りした。