"ドアの黄色の付箋" 第10話
『これで良し……。理さん、今もたっぷりんで頂戴ねぇ』
画面のの美代子の声が、スピーカーから爆音でリビング全体に響き渡った。
親族たちのが止まり、息が止まった。 修の顔から、すべての血の気が引いていくのが見えた。
第章:醜悪な断末魔
「な……なんだこれは!?」
叔父がね起き、ワイングラスをひっくり返した。赤い液体がいクロスに広がり、まるで血ののようになる。
画面のでは、修と美代子の声がクリアに響き続けていた。
『理のやつ、最がいとか言いしてる。効いてる証拠だな』 『当たりよ。あのサプリのカプセルに力な精神定剤を混ぜてるんだから。このを売れば、あんたの千百万円の借も発で解決よ』
「消せ! 修、くそれを消せえええっ!」
美代子が切り声をげ、狂ったようにテレビへびかかった。コンセントを引き抜こうとする美代子の腕を、私がたく遮る。
「消しても無駄ですよ、お義母さん。この映像のバックアップは、すでに警察と弁護士の元にありますから」
「り、理……! これはコラージュだ! 偽物だ! 俺をハメるために誰かが作った成音声だ!」
顔面を気にした修が、膝をガクガクと震わせながら私に掴みかかろうとした。
その。
ドンドン! と、玄関のドアがく叩かれた。
「警察です! けなさい!」
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々しい声が廊に響き渡る。 私がリモコンのロック解除ボタンを押すと、オートロックを解除してあらかじめ待していた警察官名と、スーツ姿の神弁護士がリビングへ崩込んでみせた。
「田修さん、田美代子さんですね。傷害罪および精神阻害薬物投与による危険為、ならびに詐欺未遂・印私文偽造の容疑で、同を願います」
警庁の刑事が警察帳を突きつける。神弁護士がその横で、い類の束を掲げた。
「こちらは公な分析関による成分鑑定、およびおが理さんの署名を偽造して勝に契約した千万円の命保険証の写しです。借の主からの証言も得ています」
親族たちは絶句し、まるで汚物を見るような目で修と美代子から距を取った。
「修……お、内の嫁に薬を盛って、を奪おうとしていたのか!?」 「なんて恐ろしい親子なの……! じゃないわ!」
さっきまで美代子に同していた親族たちののひら返しに、修は完全にパニックへ陥った。
「ち、違う! 俺じゃない! 全部おふくろが言ったんだ!」
修は突然、隣にいた美代子の肩を激しく突きばした。
「おふくろが『理のサプリに薬を混ぜれば簡単だ』って言いしたんだ! 借の穴埋めにを売ろうって提案したのもおふくろだ! 俺は止めようとしたんだよ!」
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「な……何言ってるのよ修ぅぉっ!?」
美代子はに倒れ込み、目を血らせて息子を睨みつけた。
「あんたが『借取りに殺される、理の保険とがなきゃぬ』って泣きついてきたんじゃない! 鍵を複製して私に渡したのもあんたでしょ! この親孝者がぁっ!」
「うるさいクソババア! あんたが余計な薬の量を増やしたからバレたんだろ!」
親族ので、みっともなく互いに罪を押し付けい、罵りう。 かつて「品のある名」を気取り、私のや育ちを馬鹿にしていたの面は、どこにもなかった。そこにあったのは、欲望に狂った匹の醜い害虫の姿だけだった。
「見苦しいぞ! とも来てもらう!」
警察官たちにから腕を固められ、錠をかけられる修と美代子。
「理! 頼む、理! 悪かった! 俺が悪かったから警察を止めてくれ! してるんだ理!」
修が涙とで顔をグチャグチャにしながら叫ぶ。
「理さん! 助けて! 私たち族でしょう!? 許してちょうだい!」
美代子もなりふり構わず叫び散らしたが、私はただややかにを見つめ、静かに言い放った。
「私のから、てってください」
警察官に引きずられるようにして、は玄関から連されていった。 廊に響き渡る絶叫と靴の音が、ざかっていく。
静まり返ったリビングには、茫然自失となった親族たちと、私、そして神弁護士だけが残された。
私はテーブルのに残されたワイングラスを静かに持ちげ、ゴミ箱へと投げ捨てた。