"乳がん手術日にゴルフへ行った夫の末路" 第12話
帰りので卵べたいと言った声。
寝るにありがとうと言ったこと。
その全部が、「したことなくて良かったじゃん」の言で片付いた。
「連絡、見てた?」
私が聞く。
「ああ、会議だった」
「返信くらいできたよね」
啓介はスマートフォンから目をげなかった。
「でも、縫わなくて済んだんだろ。そこが1番事じゃん」
私は何も言えなかった。
言い返せる言葉はいくらでもあった。
でも、ここで何を言っても、このは本当に分からないのだとった。
何がりなかったのか。
何が傷つけたのか。
なぜこの言がここまで残酷なのか。
啓介にはそれが分からない。
「もういい」
啓介がようやく顔をげた。
「え、ってる?なんで?」
なんで?
3歳の子供が怪をして、母親が1で病院へ連れてって。
父親は既読だけで、帰ってきて最初に言うのが「したことなくて良かったじゃん」。
なんでそれで、何でっているのか分からない顔をしている。
それが、1番こたえた。
私はそのまま寝へ戻った。
優馬はさく丸まって眠っていた。
額のテープが、暗い部のでく見えた。
私はその寝顔を見ながら、ようやくはっきりとった。
このでは私だけじゃない。
優馬のことも、同じように軽く扱われる。
もうこのにいる理由がない。
その夜、私は枕元でスマートフォンをき、母に2だけ送った。
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『、し話せる?』
返事はすぐに来た。
『いつでもいいよ。来なさい』
そのい文を見た、ようやくしだけ息ができた。
翌朝。
私は優馬を保育園に送ってから、母のへ向かった。
母のには、昔から変わらない匂いがある。
の匂いと、お茶の匂いと、ほんのし線の匂い。
玄関をけると、母はもう湯呑みを2つしていた。
「いらっしゃい」
それだけ言って、湯呑みを並べた。
すぐには何も聞かなかった。
その気遣いが、今はありがたかった。
座布団のに座って、湯呑みを両で包む。
温かいのに、指先だけはまだしたかった。
しばらく黙っていた。
何から話せばいいのか分からなかった。
「ゆっくりでいいよ」
その言で、ようやく呼吸ができた。
最初にからたのは、術ののことだった。
「お母さんには言ってなかったけど、あの、本当はすごく怖かった」
母は何も言わなかった。
ただ、こちらを見ていた。
「啓介が来るとってたの。朝、目が覚めたも、もしかしたらロビーにいるかもって。来ないって言われてたのに、どこかでしだけ期待してた」
自分で言っていてけなかった。
でも、それが本音だった。
「でも、来なかった。仕事だから仕方ないって自分に言い聞かせた」
私はそこで度言葉を切った。
そして、その先をにした。
「でも、仕事じゃなかった」
母のまぶたが、ゆっくりいた。
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「術の、啓介はゴルフにってた」
湯呑みを持つにし力が入った。
「ジャケットのポケットから、レシートがてきたの。ゴルフの名がいてあって、昼とドリンク代が印字されてた。付は、術のだった」
私は言葉を続ける。
「のに駐券もあった。朝の740分に入ってた。私が病院に向かう頃には、もうゴルフに着いてた」
言いながら、自分の声がし揺れるのが分かった。
なるべく落ち着いて話そうとっていたのに、そこだけは無理だった。
「仕事じゃなかったの?」
母はすぐには何も言わなかった。
慰めるでもなく、責めるでもなく。
ただ私の言葉をそのまま受け止めるように黙っていた。
その沈黙がありがたかった。
「レシート見つけてからも、何も言えなかった」
私は続ける。
「どうして言っても、言い訳されるだけだとったから。取引先に誘われたとか、仕事の話もしてたとか、断れなかったとか。分そういうことを言うんだろうなって。その言い訳を聞いて、私がまたみ込むところまで像できた」
私は自分でも驚くほど静かに話していた。
叫んだり泣いたりするんじゃなくて、もう理された事実を並べるみたいに話していた。
でも、それが逆に辛かった。
「退院したのことも、ずっと残ってる。に帰って私が玄関で壁にをついていたに、啓介が最初にったの。
『今、唐揚げいける?』」
母の指先が、湯呑みの縁で止まった。
「おかえりも、無事でよかったもなかった。