"四十七万円を母に送った夫への逆襲" 第15話
急いでいたせいもある。
いくら苛っていても、彼がおに関して馬鹿な真似はしないだろうという油断もあった。
私が違っていたのはその点だ。
昇でりた階は、いつも通り混雑していた。
誰もが肩を寄せい、携帯話の画面を見つめている。
それぞれの事を抱えてきている。
私も同じだ。
今は仕事に集して、のことは夜に考えようと自分に言い聞かせた。
腹がっても、きていくための糧は稼がなければならないのだから。
930分ちょうど。
私は会議に入った。
内部監査の会議は引いた。
くの数字と言葉を正確に聞き取る必があった。
費用の危険性に関する項目を発表しているだった。
着のポケットで、携帯話がさく震えた。
で見ようとったが、嫌な予がして線を落とした。
からの通が、私の顔を真っ向から殴りつけるように表示されていた。
『1020分、250万円の送続きが完しました』
私はその数字を数秒見つめた。
界がぼやけることもなく、も震えなかった。
議なことに、の源を抜かれたかのようだった。
ただたい落ち着きだけが残っていた。
急用が入ったと詫びて、会議を抜けした。
廊の気のない所までで歩いた。
子窓をく。
座の残はほぼ空になっていた。
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取引詳細を押す。
受け取りは全く見覚えのない名だった。
送名目は操作ミスのようにかった。
しかし、これはミスなどではない。
私はく呼吸をした。
危険が現実になった、監査のが最初にう続きをした。
画面の複写を1枚、2枚と保する。
子取引細を自分の個用の子便に送る。
さらに、暗証番号をかけた専用の領域に保管した。
にはすぐ話しなかった。
ここで連絡すれば、私が慌てているか静であるかの察を相に見せることになる。
私は却を選んだ。
に連絡して、にオンライン取引を止してもらった。
その、何事もなかったかのように会議へ戻った。
同僚に何かあったのかと聞かれたが「問題ない」とだけ答えた。
実のところ、私ののにあったのはたった1つの事実だけだった。
これはもう庭内の揉め事ではない。
確な横領為だ。
昼休みになると、私はすぐに弁護士に面会の予約を入れた。
愚痴をこぼすこともなかった。
依頼として必な事実だけを伝えた。
「私の個座から、250万円が正に引きされました」
私は淡々と事実を述べる。
「夫の犯とわれます。法な対処法と財産保全の続きについてご相談したいです」
弁護士から証拠の無を尋ねられると、すぐに送った。
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取引刻、受け取り、からの通の複写。
々とした説は省き、文だけ添えた。
「これは私の許なくわれた取引です」
午も会社で残りの仕事を片付けた。
静を保っている限り、自分に利な状況を作れるとっていたからだ。
形を保つには枠組みが必だと言う。
今の私にとって最の枠組みは、自分自の規律を守ることだった。
泣き叫んだり騒ぎてたりして、相にヒステリックな妻というレッテルを貼らせる隙は与えない。
夜、私がに帰ると、は子に座っていた。
疲れた顔をしていたが、その目は落ち着きなく泳いでいた。
私は鞄を置き、着替えもせずに彼と向きった。
鞄から2つのものを取りす。
黒で印刷されたと、すでに必事項を記入した誓約の面だ。
それらを彼の目のに置いた。
「見て」
私の声はくなかったが、1つ1つの言葉がく響いた。
「今の午1020分、私の座から250万円が送されたわ」
はを見て、しきりに瞬きをした。
無理に笑おうとした。
「またげさな。そのおは……」
私はピシャリと遮った。
「あなたが盗んだのよ」
は途端に逆し、言い訳をしたてた。
「引きしから通帳と実印を持ちして、窓で続きしたんだ」
彼は声を荒げる。
「業者への返済期が今までだったんだよ」
彼は言い訳を続ける。
「でちゃんと返すつもりだった」
私はまっすぐに見据えた。
「誰のためであろうと、私の同なしに私のおを引きす権利はあなたにはないわ」