"四十七万円を母に送った夫への逆襲" 第12話
痛を理由に、1く退社した。
帰り、まっすぐには帰らなかった。
静かな喫茶の隅の席に座った。
傷に浸るためではない。
事態をつなぎわせるための空が必だったからだ。
過数ヶの座のきを見直す。
ある法則に気がついた。
から義母におが渡るたび、その直にすぐ別の所へ送されている。
額は毎回同じではないが、は同じだ。
素い送、い名目、見らぬ受け取り。
ある物の顔がい浮かんだ。
の弟、健太だ。
健太は滅に京してこない。
だが、来るはいつも過剰に派だった。
ある、眩しいほどの腕計をつけて現れた。
「分割払いで買ったんですよ。姉さん、今は楽しまないと」
彼はそう言って笑っていた。
私は冗談めかして言った。
「楽しむのはいいけど、の丈を超えないようにね」
健太は笑ってごまかした。
「配しすぎですよ。分かってますって」
別の会にうちで事をしたもあった。
彼はしきりに携帯話をいじり、誰かに見られるのを恐れるように画面を隠していた。
仕事が忙しいのかと聞くと、言葉を濁した。
も「あいつなりに頑張ってるんだよ」と庇っていた。
そのは義理の族のことだからと、く追求しなかった。
事を荒てず、見て見ぬふりをするのも庭円満の秘訣だとっていた。
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だが今なら分かる。
彼がにつけていたあの眩しい。
それは黄のではなく、を滅ぼす炎のだったのだ。
過の記録をさらに調べると、額の送記録も見つかった。
受け取りは別だが、名目はやはり「返済」だった。
私は全てを記録した。
鎖のようにつながっていく事実が、確かなリストとして形成されていった。
夜になって、ようやく帰宅した。
はまだ帰っていなかった。
部はいつもより静かだった。
着替えを済ませ、お湯を沸かす。
姜入りの温かいお茶を入れた。
痛のような疲労はもう消えていた。
ただ、自分が今まで「親孝」という隠れ蓑で隠された、底なしのい穴のにっていたことだけが、はっきりと分かった。
午10く。
扉がき、がい表で入ってきた。
彼は笑いもせず、私が夕飯をべたかどうかも聞かなかった。
まっすぐ居へき、子に鞄を放り投げた。
「みさき」
い声で呼ばれた。
私は落ち着いて彼を見た。
「おかえりなさい」
は数秒ち尽くし、それから言った。
「母さんから話があった。おがりないって」
私はもう、いくらとは聞かなかった。
25万円という数字はっている。
代わりに、彼が綺麗事を維持できなくなるような質問をした。
「そのおは本当に薬代なの?」
私は彼を見つめる。
「それとも、誰かへの返済のため?」
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はビクッと体を震わせた。
瞬きを繰り返した。
その反応は濡れを着せられた無実ののものではない。
隠していた急所を突かれたの反応だ。
彼は声を荒げた。
「お、何を鱈目言ってるんだ」
私はお茶のコップを置いた。
声を荒げることなく、ゆっくりと言った。
「鱈目じゃないわ。取引記録を見たの」
私は淡々と言う。
「見らぬの名で、返済という名目になっていたから聞いてるだけよ」
部の空気が気に抜けたようにじられた。
の顔はこわばり、唇は固く結ばれていた。
しばらくして、彼は背を向けて窓際へ歩いていった。
その背は丸太のように直していた。
私はすぐに答えを急かさなかった。
言えないのではない。
バレるのが怖いのだと分かっているからだ。
のないところに煙はたない。
その言葉をので、自分への確信として刻み込んだ。
そして、この煙をただ吸い込むつもりはない。
発源を見つけし、消するのだ。
私はすぐには寝なかった。
「返済」という言葉を聞いてから、は窓に背を向けたままのようにち尽くしていた。
私の方を見ることもなく、そこからこうともしない。
の微かな音と、くから聞こえるの音だけが部に満ちていた。
私は彼にすぐ話すようしなかった。
逃げる者追うなと言うが、私は彼に戻ってきて欲しいわけではない。
自分のでしっかりって欲しかったのだ。