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"会長を救った孤児と十年目のDNA" 第20話

民票は移の記録が残っていた。

だが、転居先がで何度も変わり、ある点から更が完全に止まっている。

は信頼できる調査会社に依頼をした。

して、医療関への問いわせも自らめる。

勇気が孤児院に置かれた期と所。

そしてその直に、あかりが最に確認されている域。

それらをねると、つの方向性が見えてきた。

京からに向かい、いくつかの方都を経由した先にある。

ない、内陸の寂れた町。

はその域の病院と診療所に、順番に連絡を入れ始めた。

3かかった。

3目の夕方。

話に、さな域の総病院から折り返しの話が入った。

担当者の声は極めて慎だった。

「個報の取り扱いがありますので、詳細はお伝えできませんが……」

担当者は言葉を選ぶ。

「お探しの方に似た方が、現当院に入院されているかもしれません」

はペンを握りしめた。

「ご本確認ができれば、面会の否についてご連絡できます」

はその言葉を静かに聞き入れた。

「お数をおかけしますが、よろしくお願いします」

話を切ってから、田は健造の執務に向かった。

扉をけると、健造はデスクで類を読んでいた。

が入ってきた気配で顔をげる。

の表を見て、健造は類を机に置いた。

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は報告した。

く、正確に。

健造は聞き終えてから尋ねた。

「いつけるか」

「病院からの連絡次第です。ければかと」

健造は頷いた。

「勇気には私から話す」

その夜、健造は勇気の部った。

勇気はに座り、帳をいていた。

健造が入ってくると、帳を閉じて顔をげる。

健造は部子に座り、勇気の目を真っ直ぐに見た。

「おのお母さんのことを話さなければならない」

勇気は表を変えなかった。

しかし、体がわずかに直したのが分かった。

「探している」

健造はゆっくりと告げた。

「まだ見つかったわけではないが、いうちに分かりそうだ」

勇気はしばらく黙っていた。

それから静かに言った。

きていますか?」

「分からない」

健造は嘘をつかなかった。

「でも、そうだとっている」

勇気はまた黙った。

、黙っていた。

健造もせかさなかった。

やがて、勇気がぽつりと言った。

「お母さんは私を捨てたんじゃないとっていました」

勇気は帳に触れた。

「でも、なぜそううのかは分かりませんでした」

健造は勇気を見た。

「なぜそうったんだ?」

勇気は帳を見ろした。

「この帳を持たせてくれたからです」

勇気の指が表をなぞる。

「捨てるなら、これも捨てるはずだとって」

健造はその帳を見た。

幸介がき溜めた帳を、あかりが勇気に持たせていた。

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そのを、健造は今初めて正確に理解した。

これは幸介からの遺品であると同に、あかりから勇気への言葉を使わないメッセージなのだ。

の父親が誰かを、いつか必ずりなさい。

その切実な願いが、冊のに込められていた。

健造は子からがった。

勇気のに優しくを置く。

「見つけたら、緒に会いにこう」

勇気は頷いた。

声をさずに、ただく頷いた。

の夕方、病院から田話が入った。

ご本が面会を承諾したという内容だった。

はすぐに健造に伝え、翌朝発することが決まった。

その夜、勇気はに部に引きげた。

浜田がで廊を通った、勇気の部灯はついていた。

しかし、物音がまったくしない。

眠っているのかとい、そのまま通りすぎようとした。

扉のの隙から、が差している。

眠っていないのだろうと浜田はった。

翌朝どんな顔をするだろうかといながら、浜田は自分の部に戻った。

翌朝。

発の準備をしていた勇気は、いつもより入りに着の内側を確認していた。

帳が入っているかどうか、何度も確かめるように触れている。

浜田がおにぎりを持たせてくれた。

のりだから」と言って、つ包んでくれた。

勇気はそれを受け取った。

「ありがとうございます」

勇気はげて言った。

邸宅に来てから、初めて自分から礼を言った瞬だった。

浜田は驚いた顔をしたが、すぐに目元をらげた。

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