"会長を救った孤児と十年目のDNA" 第16話
がりすと、勇気は窓のを見た。
邸宅のがざかり、見慣れないの景が流れていく。
隣には健造が座っていた。
は言葉を交わさなかった。
しかし、勇気は度だけ、横に座る健造の横顔を盗み見た。
健造は真っ直ぐにを向いている。
その横顔に、勇気は何かを見たのかもしれなかった。
勇気はまた窓のに線を戻した。
流れていく並みを、静かに眺め続ける。
本社ビルまでののりを、は黙ってり続けた。
堀田製作所の本社ビルは、京の側に位置する7階建ての建物だった。
壁は創業当の造りの匠を残している。
しかし、増築をねてきた痕跡が各所に見えた。
健造が初めてこのビルにを踏み入れたのは、18歳のだった。
父に連れられ、現の職たちにをげて回った。
械の名をつつ覚えただ。
それから半世紀以が経ち、今も健造はこのビルの正面玄関から入る。
いつもと変わったことがつあった。
隣に、10歳の子供が歩いている。
受付の女性が健造を見てちがり、くお辞儀をした。
エレベーターで7階にがる。
その、勇気はボタンのパネルをじっと見ていた。
各階の番号が刻まれた属のパネル。
勇気は声にさずに唇だけをかし、何かを数えているようだった。
田はそれに気づいたが、何も言わなかった。
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7階の扉がく。
廊の奥に、なの扉が見えた。
取締役会議だった。
扉のには、すでに数の役員が集まっていた。
健造の姿を見て、全員が斉にをげた。
そののが、勇気を見て躾に目を細めた。
それが何をする線かを、健造は正確に読んでいる。
悟の話が、すでにこの所まで届いているということだった。
会議に入ると、いテーブルの両側に役員たちが着席していた。
定員14名の席のほとんどが埋まっている。
座に健造の席があり、その隣に田が座った。
勇気は健造の斜めろに置かれた補助子に座るよう、田に案内された。
悟はすでに着席していた。
テーブルのほどの席に、えられた類をに置いている。
穏やかな顔で座っていた。
健造が座につくと同に、悟はスッとちがった。
「会。本はおをいただき、ありがとうございます」
悟は会議全体に響く声で言った。
「速ですが、議題に入らせていただいてよろしいでしょうか?」
健造は無言で頷いた。
「どうぞ」
悟は用していた類を、役員全員に配り始めた。
表には『会職の職務補佐に関する提案』とかれている。
悟は落ち着き払った声で話し始めた。
「ここ数ヶ、会のご判断について、現及び役員複数名から懸の声ががっています」
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悟は痛な面持ちを作った。
「先の調達方針の件、そして今回の、素性の確認されていないお子さんの邸宅への滞」
悟は勇気をちらりと見た。
「こういった事案がなっており、会社として適切なガバナンスを保つためにも……」
悟は声を段くした。
「当面の、経営判断の部を補佐体制でうことをご提案申しげたいといます」
悟の言葉は滑らかだった。
な起伏がなく、客観な報告のように聞こえるよう計算されている。
何かの役員が、元の類に目を落とした。
部の空気が、わずかに悟の提案へと傾いた。
健造は類を受け取らなかった。
テーブルのに置かれた分も、に取ろうとしない。
ただ、悟をじっと見据えていた。
悟が話し終える。
健造はゆっくりとちがった。
「つ確認させてください」
健造の声は静かだった。
しかし、7階の会議の空気を、その声は確かに変えた。
「この提案を支持している役員の方は、挙をお願いします」
部が完全に静まり返った。
3秒、5秒、10秒。
やがて、がおずおずとをげた。
それから、目がためらいがちにをげる。
目はいなかった。
健造はそのを見て、く頷いた。
「分かりました」
健造は田に線を向けた。
「それだけいい」
田がちがった。
に持っていた茶い封筒を、テーブルの央に置く。
「DNA鑑定の結果です」
田はよく通る声で言った。
「信頼性のい検査関でいました。詳細は同封の検査関の証に記載されています」