"会長を救った孤児と十年目のDNA" 第11話
田は無言でちがった。
部をるに、度だけ勇気を見た。
勇気は子に座り直している。
帳を膝のに置いていた。
その表は、相変わらず静かだった。
嵐のの、あの気なほどの静けさだった。
悟が邸宅に戻ってきたのは、田からの話を受けてから40分だった。
がをくぐる音がする。
畳を踏む革靴の音が、玄関まで続いてきた。
田が扉をける。
悟は落ち着いた表でっていた。
「急なご連絡でしたが、何かありましたか?」
悟の声に揺はなかった。
しかし、目がわずかに周囲を確認するようにいている。
田は悟を応接へ案内した。
廊を歩きながら、悟は尋ねた。
「会はお元気ですか」
田は歩みを止めず、を向いたまま答えた。
「お待ちです」
応接には、健造が正面のソファに座っていた。
田が入りにち、浜田が端の子に腰掛けている。
そして勇気が、部の隅のさな子に座っていた。
悟は部に入り、勇気を見た瞬、わずかに目を細めた。
しかしすぐに表を戻し、健造の向かいのソファに腰をろした。
悟は微笑みながら尋ねた。
「お話とのことで。どのようなご件でしょうか?」
健造は答えるに、田に線で図を送った。
田が歩み寄り、机のに印鑑を置いた。
象製のさな印鑑が、テーブルのにコツンと音をてて置かれた。
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悟はそれを見た。
表はまったく変わらない。
「これが何か分かるか?」
健造がい声で言った。
悟は余裕の笑みを浮かべた。
「会の個印ですね」
健造は続けた。
「昨の朝、庫に入れた。今朝、勇気の着のポケットのからてきた」
悟は眉をわずかにげた。
驚きを表現した顔だった。
しかし、その驚きの反応がしだけ遅かった。
「それは変でしたね。まさかあの子が……」
悟の言葉を遮る声が響いた。
「やっていない」
勇気が静かに言い放った。
部の全員が勇気を見た。
勇気は子からちがった。
悟の顔を真っ直ぐに見据える。
10歳の子供が、45歳の男を真正面から見据える。
その構図が、部の空気を張り詰めさせた。
勇気は話し始めた。
声は抑揚がなく、な起伏もない。
いつもの、事実を告げるの声だった。
「このポケットは縦向きで、入りが狭いです」
勇気は自分の着を指さした。
「自分で物を入れるは、正面から斜めに差し込みます」
勇気は悟から目をさない。
「でも今朝、印鑑が入っていた角度は、からまっすぐ落とした角度でした」
勇気は歩にた。
「ポケットから取りした、引っかかる方向が違ったので分かりました。自分では作れない角度です」
悟は穏やかにをいた。
「子供のい込みでは……」
勇気は悟の言葉を遮って続けた。
「昨の朝、着を子の背もたれの端にかけました。
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毎そうしています」
勇気の言葉には迷いがない。
「でも今朝は央にかかっていました。誰かが度取って、印鑑を入れてからまた掛け直したんだといます」
悟は勇気から線をし、健造に向けた。
「会、子供の話を真に受けるのは……」
勇気はさらに言葉をねた。
「まだ終わっていません」
悟は再び勇気を見た。
その目に、初めて焦りのような別の何かが混じった。
勇気はそれを見て、容赦なく続けた。
「昨、廊で30秒くらいち止まっていましたよね。図の窓から見えました」
勇気は廊の方角を指さした。
「止まっていた所は、ここから執務へ向かう曲がり角のすぐです」
勇気の声が部に響く。
「その先に執務があって、執務の隣に庫があります」
勇気は悟の目を射抜いた。
「あなたはこの邸宅に何度も来ているから、どこに何があるかっているはずです」
部が完全に静まり返った。
勇気は最に、決定な言葉を告げた。
「昨、この邸宅に来たのはあなただけです」
勇気はゆっくりと息を継いだ。
「庫に入れるは、会と田さんともうだけだと聞きました」
勇気は悟を指さす。
「あなたは以、会の代理で類に印鑑を使ったことがあると、田さんが言っていました」
勇気は悟の表のわずかな変化を逃さない。
「だから、暗証番号をっていてもおかしくない」
悟は顔に笑みを作った。