みかん小説
本棚

"会長を救った孤児と十年目のDNA" 第8話

夕方、健造が図に顔をした。

勇気はまだそこにいた。

テーブルのに本を3冊並べている。

古い帳と交互に見比べながら、何かを調べていた。

健造は部に入り、勇気の隣の子に腰をろした。

勇気は度顔をげ、またすぐに本に線を戻した。

しばらくのは黙ったまま同じ空にいた。

やがて、健造が静かにいた。

「その帳のは、読めるのか?」

勇気は本から顔をげずに答えた。

「全部ではないです」

勇気はページを指でなぞった。

「でも、図面のは分かります」

勇気は健造を見た。

「この歯の部分と、このカムの計算式は、学で習わなくてもなぜか分かりました」

健造はそれを聞いて、何かを言おうときかけた。

しかし、言葉にならなかった。

代わりに、くつぶやいた。

「そうか」

勇気は帳の1ページを、健造に向けて傾けた。

械図が細かく描かれていた。

「これ、何の械ですか?」

勇気が尋ねる。

健造はその図を見た。

見た瞬に分かった。

30に堀田製作所が発した、特殊な織の駆部の設計図だった。

幸介が入社して最初のに、先代の設計図を独自に改良してき直したものだ。

その改良版は、今もの現役械のきている。

健造は図から目をした。

勇気の顔をじっと見つめる。

勇気は健造の表に何かを読み取ったのか、静かに帳を閉じた。

広告

に、言葉にならない何かが流れていた。

健造はゆっくりとがった。

無言のまま図る。

を歩きながら、健造は計算した。

検査結果が届くまで、あと3ある。

3、確かめずに待つ。

それだけのことが、72きてきたでこれほどじられたことはなかった。

検査結果が届くまでの3

邸宅のには、表面何も変わらない常が続いた。

勇気は毎朝決まったに起き、事をする。

で本を読み、午は庭にの枝を拾っては並べた。

浜田は事を丁寧に用する。

健造は午話と類仕事をこなした。

は邸宅と会社を何度も往復した。

しかし、その常の表面ので、複数のことが同いていた。

は悟のを本格に調べ始めている。

健造は毎晩執務で、古い類を引っ張りしていた。

そして勇気は、自分がらないうちにこのの何かをしずつ変え始めていた。

悟は翌、忘れ物のフォルダーについて田話で問いわせてきた。

は受話器を握り、平坦な声で答えた。

「応接にも廊にも、見当たりませんでした」

で、悟が瞬黙る気配があった。

「そうですか。では、内に置いてきたのかもしれません」

悟の声は穏やかだった。

「お数をおかけしました」

しかし、田はその瞬の沈黙のさを聞き逃さなかった。

広告

フォルダーを忘れたのではなく、わざと置いてきたのだとしたら。

では、その目は何だったのか。

はそのの夕方、健造に報告した。

健造は報告を聞きながら、窓のを見ていた。

「悟が次に何をしようとしているか、先にりたい」

健造の命令に、田く頷いた。

翌朝から、田は本格な内偵を始した。

3目の夜。

勇気が眠った、健造はで執務に座っていた。

デスクのには量のが積まれている。

幸介が入社してからくなるまでにいた、報告や社内メモのコピーだった。

健造が会社の庫から、しずつ取り寄せたものだ。

幸介の字でかれた文字を、健造は枚めくっていった。

探しているのは、あの帳の図面と致するものだった。

30枚ほどめくったところで、が止まった。

枚のてきた。

幸介が入社2目にいた、械の改良提案だった。

図面が添付されている。

健造はその図面を、勇気が帳で見せたページと照らしわせた。

まったく同じだった。

線の太さも、寸法のき方も、歯の歯数の記入方法も。

すべてが完璧に致している。

健造は2枚のを並べたまま、かなかった。

4目の朝。

勇気は朝の途で、突然テーブルのの数字について話し始めた。

に図で読んでいた統計の本についてだった。

「本に載っていた計算式を使って、国内の製造業の原価率の変化を暗算でしてみた」

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: