"毎日1センチ狭くなる庭" 第6話
「1025……?」
へたり込んだので、私はしく打ち込まれた杭のを度見した。
昨までの30本には、すべて『1024-1』から『1024-30』までの番号がかれていた。 しかし、今朝目のに突き刺さった1本目の杭には、確に『1025-1』と記されている。
枝番号の『1』に戻っただけではない。ハイフンのの数字が、1繰りがっているのだ。
1024から、1025へ。 それは付なのか、それとも回数なのか。 もしこれが「1024回目の30周期」をしているのだとしたら——この老は、数からこの狂気の作業を繰り返していることになる。
全の血が引いていくようなたさをじながら、私は悟った。 泣き寝入りも、に頼ることも、もうやめだ。 健太はあてにならない。警察も自治会もかない。なら、私自がこの怪奇現象の「証拠」を掴むしかない。
私はそののうちに、ネット通販で暗能付きの性能型防犯カメラを注文した。翌届いたカメラを、2階のベランダのひさしの、からは絶対に見えない位置に設置し、庭全体と野寺のとの境界線を24監できるようにセッティングした。
そして、ノートへの記録もより詳細につけ始めた。
【1025サイクル】 ・1目(1025-1):気・れ。朝500分打刻。 ・2目(1025-2):気・曇り。朝500分打刻。 ・3目(1025-3):気・。朝500分打刻。
老のは相変わらず正確無比だった。寸分違わず毎朝5、1センチずつ庭をい破ってくる。
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だが、カメラを仕掛けたことで、私はついに「あの夜」の真実をることになる。
1025サイクルが始まって7目の夜。 私は昼にSDカードを回収し、パソコンで録画映像をチェックしていた。
のサイクルの最、あの『1024-30』が打たれた夜から『1025-1』が打たれる直までの、午2から5までの映像だ。 あの夜で、どうやってく打ち込まれた30本もの鋼鉄杭が消えったのか。その謎を解きかす鍵が、映像のにあるはずだった。
送りで再していた画面を、午312分の点で等倍に戻す。
画面ので、がりの暗い庭にが現れた。 野寺老だ。彼はにきな黒いケースをげていた。
老は1本目の杭『1024-1』のにしゃがみ込むと、ケースから太いコードのようなものを取りし、杭のに接続した。そして、そのコードの反対側を、型の発のような器に繋いだ。
ブツン……。
映像に瞬、いノイズがった。 次の瞬、私は自分の目を疑った。
く刺さっていたはずの『1024-1』の杭が、まるで底なしのに沈み込むように、すうっと音もなくへと吸い込まれていったのだ。
引き抜いたのではない。 杭は、の暗に向かって「落ちて」いったのだ。
1本、また1本。老が器のスイッチを押すたびに、30本の鋼鉄杭は、まるで最初からしなかったかのように、がの庭ののに丸ごとみ込まれていった。
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「なに……これ……」
画面を見つめる私のから、乾いた鳴が漏れた。 がの庭のには、体何があるというのだ? 太い鋼鉄の杭が30本も呑み込まれるような、巨な空洞があるというのか?
だが、恐怖はそれだけでは終わらなかった。
映像の午340分過ぎ。 すべての杭がに消え、老がを均していたその。
画面の隅——野寺のの2階の暗い窓辺に、自然な『』が映り込んでいるのに気づいた。
窓ガラス越しに、誰かがっていた。 野寺老ではない。老はにいる。 そのは、腕を組み、庭で作業する老を、じっと見ろしていたのだ。
野寺は暮らしのはずだ。 あの2階の部から老を監していた物は、体誰なのか?
画面を拡した瞬、私は息を呑んだ。 そのが着ている、そしてその体型。
どこかで見覚えがあった。 それは——張と言ってに帰ってこなかったはずの、私の夫、健太のシルエットに酷似していた。
画面に映ったを、私は何度も拡した。
背格好、しかがみな猫背の姿勢、そして着ている黒いナイロンジャケット。どこからどう見ても、張で阪にっているはずの夫・健太だった。
なぜ健太が、隣の野寺のの2階にいるのか? 「阪へ張」というのは、最初から嘘だったのか?
胸が鐘のように打つ。私は震えるでパソコンを閉じ、健太の斎へと向かった。
普段はち入らない健太の部。