"没落夫と偽りのお嬢様が堕ちた地獄" 第22話
「配すんな。俺は半から母さんの会社で働いてるだろう。何のために母さんが俺を雇ったとってるんだ?」
マリナは怪訝そうに首を傾げた。
「何? どういうこと?」
「ったく、察しが悪いな。俺を継者に選んだってことだろ?」
「え? そうなの? あなたがの会社を辞めてから就職先が決まらなかったからじゃないの?」
「違うって!」
ヨシヒコはちがり、げさに両を広げた。
「え……やっぱりお母さん、ただ配してあなたを雇っただけじゃない? 『息子に会社を継がせるつもりはない』ってに言ってたし」
「いやいや、そんなこと言ってたって、やっぱり息子がいんだって! 俺にも、『優秀な社員にを継がせる』って言っててさ。だから俺のことも雇わなかったはずなんだけど……でもこうやって俺を雇ったじゃん。つまり、まあそういうことだろ」
マリナはそうに眉をひそめた。
「そうなのかな……」
「その証拠に、俺は最初からいい役職につかせてもらってるじゃないか。ということは、俺はいずれ社になるんだろうよ。だからさ、そんなケチケチしなくても丈夫なんだよ。俺の世は約束されたも同然なんだから」
マリナはややかな目を向けた。
「そうかな……あんまり調子に乗らない方がいいとうけどな」
数の夜過ぎ、残業を終えて帰宅したマリナを迎えたのは、腕を組んで仁王ちするヨシヒコの声だった。
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「おい、飯は!?」
マリナはため息をつきながら靴を脱いだ。
「ごめん、もうちょっと遅くなるって連絡したよね? 残業になっちゃっててさ」
「ああ!? く帰ってこいよ!」
「先にべてて。デリバリーしてもいいし」
ヨシヒコは駄々をこねる子供のように唇を突きした。
「俺は作りたてがべたいの!」
「そんなこと言われても……」
ヨシヒコはリビングを見回し、嫌たらしく指を差した。
「なんか最さ、事が雑じゃない? のもあんまり理頓できてないし、クローゼットにしまってるもなんか乱雑だしさ。もう仕事辞めて専業主婦になったら?」
マリナの目が据わった。
「それだと、完全に支が収入を回っちゃうじゃん。今は共働きだから何とかなるって状況なんだよ。文句を言うなら、あなたも事を伝ってくれたらいいのに」
ヨシヒコは傲にを鳴らした。
「丈夫。そのうち俺だけで今の収入を超えられるよ」
「そのうちっていつよ!? 私が仕事を辞めちゃったら、そのが来るまでどうやって活するわけ?」
「貯があるだろ」
マリナは即座に拒絶した。
「それは絶対に嫌!」
「何でだよ!」
「もしもののために、私がコツコツ貯めてきたおだよ!」
「今がもしものだろ!?」
「違うよ!」
マリナは歩も引かずに言い返した。
「病気して働けなくなったとか、何か緊急でおが必になったとか、測の事態で使うためだよ! 私が働ける状態なら働くべきだし、毎来ての夕飯をべたいってだけで仕事を辞めるのは違うとうよ!」
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ヨシヒコは先で笑った。
「あのな、来ての夕飯をべたいって案なことだぞ。仕事のやる気に直結するんだからさ」
マリナはく息を吸い込み、夫を射抜くように見つめた。
「じゃあこの際、私も言わせてもらうけどさ。お母さんの会社で雇ってもらってから、あなた調子に乗りすぎだとう」
「はあ!?」
「確かにお母さんの会社に雇ってもらえて収入もがったし、なかなかいい役職につかせてもらって気になっちゃう気持ちは分かるけどさ。これからさらに世できるかも、社になれるかも分からないじゃん。そんな確定なことを提にして、な決定をしようとしないで!」
ヨシヒコの顔がりで歪んだ。
「おは、俺が社になれないとってんのか!? 何で嫁なのに俺を信じないんだよ! もしかして嫉妬してんのか!?」
「は? 何それ」
「俺が転職するまで、収入はおの方がかったもんな! あっさり稼ぎを越されて悔しいんだろ! はあ、が狭いやつだな! 言っとくけど、そもそもこれが正しい形なんだからな! 黒柱は男の方であるべきだ!」
マリナは軽蔑の差しを向けた。
「何それ、いつの代の価値観? 女だとか男だとか関係ないでしょ。そもそも嫉妬なんかしてないし」