"没落夫と偽りのお嬢様が堕ちた地獄" 第5話
「……ごめん。そうかもしれない。俺は持ちのにまれたってだけで、良くないし、何かができるわけでもないし……だから、リエのことを妬ましくう気持ちはあったのかもしれない」
「くだらないプライドだね。の価値って、まれたとかステータスじゃないよ。性だよ」
「今なら分かるよ! リエは素らしいだって! 俺は愚かなだよ……事なことにも気がつかず、まんまと騙されてを失ったよ。おまけに、ぼーっとしてるにの資産までなくなった……実も破産寸だ」
リエは眉をかさずに聞き流した。
「あら、そうなんだ」
「ああ……嫁が俺のらぬに、親からを騙し取ってたんだ。『信用できる投資先がある』とかなんとか言いくるめて。しかも、俺がらないところでローンまで組んで散財してたよ。それで、今は支払い獄だ」
「その女はどうしたの?」
「婚したよ! というか、うちの両親がブチ切れてさ。で自宅に乗り込んできたとったら、彼女を荷物ごとに放り投げてから叩きしたんだ」
リエは呆れたように息を吐いた。
「……あなたは、親の言う通りに婚したんだ」
「え? ああ、そうだけど……」
「いっつもそうよね。あなたは親の言いなり」
「だって、これ以あの女をに置いてたらヤバかったんだって! 貯はもちろん、両親は老の資産を全て失ってる。
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そもそもがの資産は、もう親の代でそんなになかったのにだぞ!」
「そうなんだ。あんなに偉そうにしてたのに、もう没落してたんだね」
「そうだよ……良かった代はとっくに終わってるんだ」
カズシはすがるような声をした。
「おはまだアメリカにいるのか? 本に戻ってきたら会わないか?」
「どうして?」
「謝罪したい……」
「いらないよ。謝罪したいというよりは、私と都よく繋がるためだよね」
カズシは図を突かれたように息を呑み、必に言葉をねた。
「その話がしたいんだ! 俺とよりを戻さないか!?」
リエは乾いた笑い声を漏らした。
「は?」
「両親も反省してるから! 今は、おほど素らしい嫁はいないとってる! 本当に悪かった! どうかがに戻ってきてくれないか!」
「うわ、最悪。呑気すぎ」
「頼むよ!」
「無理だね。私もこっちでかなり落ち着いちゃってるし。あなたたち族のいる本に戻るとか、ありえないし」
「え……そこまで?」
「うん。っ嫌い。『覆盆に返らず』って言葉、ってる? 読める? わかる?」
リエはそれ以カズシの言葉を聞くことなく通話を切断し、連絡先を完全にブロックした。
その、づてに聞いた話では、カズシは元浮気相が作ったローンや借の返済に追われながら、両親への仕送りに追われる々を送っているという。財産を失った義両親は、最の砦だった代々の敷までも放す羽目になった。
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は族が栄えていた頃の唯の名残りであり、それを失うことは「名の」としての誇りを完全に失うことと同義だったが、背に腹は代えられなかったのだ。
方、逃を図った浮気相はすぐに警察に捕まり、借の返済義務を負わされた。現は裏通りのとでのアルバイトを掛け持ちし、返済のためだけにきる過酷なを送っているという。
すべてを清算し、アメリカのに腰を落ち着けたリエは、現の企業で自らの能力を分に発揮して働き続けた。やがて誠実で優しい男性と巡りい、結婚と産を経験した。見栄や柄に囚われず、互いを尊しえる温かな庭ので、リエは順満帆なを歩んでいる。
夜を回った静まり返るリビングで、イチロウはスマートフォンの画面を見つめながらいため息をついた。画面には、娘のルカの位置報が表示されないまま、だけが刻々と過ぎていく。を決して話をかけると、数回のコールののち、騒々しいクラブミュージックの音とともに嫌な声が響いた。
「ルカ、こんなまでどこをほっつき歩いてるんだ? 迎えにくから、今いる所を教えなさい」
受話器の向こうから、あからさまに舌打ちする音が聞こえた。
『はあ? うざっ。余計なお世話だし』
イチロウは眉を指先で押さえ、声をくした。