"5人目だけが若かった" 第4話
きな棺を作ったのものだった。
者を清め、布で包む作業も、葬儀に慣れた民が担当した。
全体を取り仕切ったのは池田哲夫という老だった。
青川で、祭事や葬儀の順を管理していた物だったが、1996に脳卒でくなっている。
実際に遺体を棺へ入れたのは、斎藤啓介と渡辺正。
当30歳だった斎藤は、池田から古い儀式の順を教わっていた。
渡辺は体格がよく、い棺や遺体を運ぶ役に選ばれた。
材や祭具を運んだのは、隣の松川にむ徹也だった。
は型トラックを持ち、周辺ので材や資材を運ぶ仕事をしていた。
「は儀式には入ってません」
佐藤はく言った。
「材をろしただけです」
は帳へ名をいた。
斎藤啓介。
渡辺正。
徹也。
「佐々さんを棺に入れたのは何ですか」
佐藤は記憶をたどった。
「1014。くなった翌です」
それまでの4を先に配置し、最にを央へ寝かせた。
棺の蓋は完全には釘打ちされず、い布をかけた状態での祠へ移された。
そこから3、誰も祠へ入ってはいけなかった。
「なぜです」
が聞くと、老の1が答えた。
「きた者が棺に触ると、5の魂がを失うと言われとった」
毎晩、が落ちてから池田哲夫だけが祠の入りで線を焚いた。
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その池田でさえ、へ入って蓋をけることはしなかったという。
1017の未、民12が棺をへ運んだ。
すでに蓋は閉じられ、縄もかけられていた。
い棺をで引きげるだけで精いっぱいだったため、を確認した者はいなかった。
は集会所を見渡した。
「佐々さんの顔を、最に直接見たのは誰ですか」
内が静まり返った。
やがて1の男がをげた。
の息子、佐々太だった。
「母がくなって、い装束を着せてもらったところまでは見ました」
「棺に入るところは?」
太は首を横に振った。
「族が儀式にち会うと、者が族への未練を断てないと言われたので……に戻りました」
の嫁も、1014の午、遺体がをるまでは確認していた。
そのは斎藤啓介と渡辺正へ引き渡されている。
は2を別々に呼んだ。
40歳になっていた斎藤啓介は、事聴取の、爪の周囲を何度もいじっていた。
「さんを棺の央に入れたのは私です」
斎藤はそう言った。
「顔も見た?」
「見ました。い装束でした。脚の古い術痕も覚えています」
渡辺正も最初は同じように答えた。
だが細部を聞くと、話がわなくなった。
斎藤は、の顔を布で覆ってから祠へ運んだと言った。
渡辺は、から運びしたにはすでに顔が覆われていたと話した。
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も違う。
斎藤は午3頃。
渡辺はが沈んだ。
「6なので、正確には覚えていません」
2とも同じ言葉を使った。
だが議なことに、の葬儀について尋ねると、参列者や付、運んだ順番までよく覚えていた。
佐々の遺体を扱っただけが曖昧だった。
は次に、祠そのものを調べることにした。
祠はの裏に残っていた。
すでに何も使われておらず、根の部は崩れ、には落ち葉とが入り込んでいた。正面の扉には錠があったが、裏側の古い窓は1が通り抜けられるほど広かった。
さらに裏には、1台がづける細いがあった。
鑑識員が板をすと、黒く変した筋が見つかった。
血液反応はなかった。
代わりに、松脂やの混じった物質が検された。
葬に使った麻縄へ塗っていたものと似ていた。
その筋は棺が置かれていた央から、裏の方向へく続いていた。
「いものを引きずった跡かもしれません」
鑑識員が言った。
は祠の向かいにむ老女、菊を訪ねた。
最初、菊は何も見ていないと言った。
けれどが何度も19931015の夜について尋ねると、やがて表を変えた。
「あの晩……の音を聞いた気がする」
「何頃です」
「夜やった。が全部寝静まった頃」
そのはがなく、空気も静かだった。
はライトを消したまま、祠の裏をがってきた。
しばらくすると、の板がくような鈍い音が何度かした。