"亡き義母の口座を洗う女" 第1話
「由里、まだ片付かないのか? もいんだから、適当なところでがれよ」
リビングから夫・雅志の呑気な声が聞こえてくる。テレビからはプロ野球の継音がく響いていた。
「ええ、もうすぐ終わるわ。先に寝てて」
私はキッチンの勝脇にあるさな納戸で、段ボール箱と格闘していた。
3、義母の子がくなった。7におよぶ宅介護の末だった。度の認症と末期の透析。昼夜を問わず呼びされ、排泄の世話をし、暴言を吐かれ、着ているを破られる々。あの壮絶なをいすだけで、今でも胃の奥がキュッと締め付けられるような痛みを覚える。
骨壺に納まった義母を墓に埋葬した、謹慎にも「これでやっと私のが戻ってくる」と胸をなでおろしたものだった。
今の片付けは、その義母の残したわずかなの回り品の「本当の最」の理だった。来週末にの点検が入るため、ずっと放置していた古い類箱を処分することにしたのだ。
「……ん?」
埃を被ったプラスチックケースの底から、冊の古い通帳がてきた。元の方の座だ。表の跡は、まだ認症を発症するに義母が自らいたとわれる、し癖のある達な文字で『坂本子』とあった。
最の記帳ページをく。最のは、4の5。
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残はわずか1,420円。
「これ、解約続きしてなかったっけ……」
義母がくなった際、メインで使っていた信用庫の座は雅志と緒に続きをして解約した。だが、この座のはすっかり忘れていた。残も数千円程度だし、放置されて休眠座になっているのだろう。
そういながらも、几帳面な性格が災いした。、パート先のスーパーへ向かう途にそのの支がある。ついでに記帳して、残を確認してから解約しよう。私は通帳をバッグのポケットに押し込んだ。
翌の昼がり。
パートの休憩を利用して、私はの無舗に入った。平の昼ということもあり、内には誰もおらず、記帳の子音が静かに響いていた。
「まあ、利息が数円ついている程度かしら」
通帳を記帳に挿入する。
カタカタカタ……と軽な印字音が鳴り始めた。
しかし、その音はすぐに止まらなかった。
ジジジ……ジジジ……ジジジ……。
印字音は規則正しく何度も繰り返され、向に終わる気配がない。械の内部でページが自でめくられる音が聞こえる。
「え……? 何これ?」
わず械の画面を覗き込んだ。画面には『ただいま記帳です』の表示がたまま、すでに1分くが経過している。たった度の繰り越しで終わるはずが、まるで何ものデータが次々と印字されているかのような音だった。
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数分、ようやく「パコン」という音と共に通帳が吐きされた。
にとってページをいた瞬、私は自分の目を疑った。
『受取 カブシキガイシャ・サイセイ 18,420』 『お引し 18,000』 『受取 カブシキガイシャ・サイセイ 18,420』 『お引し 18,000』……
黒いインクで埋め尽くされたページ。
義母がくなった翌から、今に至るまでの然とした記録。
毎1、『カブシキガイシャ・サイセイ』という謎の法から18,420円という途半端な額が振り込まれている。
そして——毎週曜の夜07分。
決まって『ATM』の文字と共に、万千円から万円の現が、まるで規則正しい計の針のように引きされていたのだ。
「なに……これ……」
背に、すっとたいものがり抜けた。
義母・坂本子は、3に確かにんだ。
私がこので体を拭き、装束を着せ、葬の炉のに棺が運ばれていくのを、この目で見送ったのだ。焼きがった骨を、箸で拾って骨壺に納めたのは私だ。
絶対に、この世にはいない。
なのに、なぜ者の通帳に毎「料」のようなおが振り込まれ続け、毎週毎週、誰かがそれを引きしているのか?
最の印字に目をやる。
『08-26 00:07 ATM オヒキダシ 18,000』
昨の夜。
曜の、夜07分。
今激しく打っている臓の音が、の奥でドクドクと気に響いていた。
私は震える指で通帳をく握りしめた。
汗で、の端がじわリと湿っていく。単なるのシステムエラーなのか。それとも、誰かがんだ義母のを……今もここで「きさせて」