"夫から届いた23年分の請求書" 第1話
ぶりにもらった料を報告すると、夫は「おめでとう」の代わりに、枚のを卓へ並べた。
「これからは、しずつ返してもらおうとう」
番には、《活費負担分・精算案》とかれていた。費、宅費、費、保険料。結婚してから夫が支払った額をごとに並べ、私の負担分として半額を計算している。計は、千百万円だった。
私は歳。名は松井美という。男の悠斗を妊娠した歳のに事務職を辞め、それから事と育児をしてきた。夫の隆司は歳、宅設備会社の経理部だった。
「返すって、何を?」
「これまで僕がて替えてきた活費だよ。全部を請求するつもりはない。事をしてもらった分もあるから、ここにいたのは本来の半分以だ」
隆司は説資料を作るのが得だった。表には物価昇率まで反映され、私がべた分、使った代、宅ローンの居利益が細かく計算されている。
「夫婦の活費を、て替えと言うの?」
「当は君に収入がなかったから、僕が負担した。今は働けるんだから、し公平にしようという話だ」
私が働き始めたのはかだった。所の総病院で来受付の契約職員を募集しており、以の事務経験と、義母の通院に付き添った経験を評価された。週、からまで。
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取りは万円ほどになる。
初めて振り込まれた与は万千百円だった。自分の名義の座へ、自分が働いた対価が入ったことが嬉しく、夕にしい刺を買った。
隆司は、その割に当たる万千円を毎、計座へ入れるよう求めた。うち万円は現の活費、万千円は過分の返済。完済まで以かかる計算だった。
「私、働き始めても、事はほとんど今までどおりしてるよね」
「だから事分は差し引いていると言っただろう」
「いくらで計算したの?」
隆司は資料のろをめくった。事評価額は万円。掃除、洗濯、事作り、育児、学事、双方の親の通院や法事の配。それらをまとめ、専業主婦には居と事が提供されていたため、実際の価格よりくしたという。
「万円……」
「ゼロとは言っていない。にならず、数字を見てほしい」
歳の悠斗が、リビングから顔をした。学を卒業し、IT会社で働き始めてになる。今も自宅から通勤している。
「何の話?」
隆司は、母さんも収入を得るようになったから、計負担を公平にする相談だと説した。悠斗はを枚読み、し考えてから言った。
「今の活費を入れるのは普通じゃない? 俺も万円入れてるし」
「今の分だけじゃない。私が働いていなかった分も返せと言われてるの」
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悠斗は困った顔をした。
「でも父さんが働いて族を養ってたのは事実だよね。母さんも、これからしせるならしてもいいんじゃない」
私が作った夕をべ、洗濯されたシャツを着て育った息子にとっても、父親が族を養い、母親は養われただった。
私はそので鳴らなかった。枚のを枚ずつね、隆司へ返した。
「今は署名しない。私も計算してから話す」
「何を計算するんだ」
「こので、私がしてきたこと」
隆司はで笑った。
「族のことをに換えるのか」
自分が枚も計算しておきながら、私が同じことをすると族をに換えることになるらしい。
その夜、計簿を保管している押し入れをけた。私は結婚以来、毎の支をノートへ記録してきた。学の集、夫のワイシャツ、義父母への贈り物、息子の部活費。レシートがない物もあるが、活の流れは残っている。
番古い箱の底から、見覚えのない封筒がてきた。には、隆司名義の定期預解約細が入っている。
解約は、私が働き始める週。額は百万円だった。
計の精算を求める夫は、自分の預から百万円をかしたことを、言も話していなかった。
翌朝、私は百万円についてすぐ尋ねなかった。隆司が精算という言葉を使うなら、まず夫婦の全体を確認する必があるとった。
昼休み、病院の相談員である崎さんへ、計のことで専に相談したいと話した。