"果樹園の奥の家" 第15話
「今すぐ全部を背負わせなくていいといます。でも、あなたまで嘘をねないでください」
美代子は黙ってうなずき、最に族写真をした。写真そのものは彼女の私物だ。私は止めなかった。
1が終わり、空になった子ども部の窓をが打っていた。先は、を売却すれば1200万円の部をく回収できると言う。
私は庭に残された輪と、だらけの作業靴を見た。ここを建てたは汚れていても、働くが汗を流したまで壊す必はない。
「このは取り壊しません。誰かの秘密を隠す所ではなく、果園で働くのために使い直します」
第17話 りんごを腐らせない
健太郎の逮捕から6週、梨果の会議にはしい次報告が並んでいた。
売、肥料代、件費、設備費。以は健太郎のパソコンにしかなかった数字を、今は従業員も確認できる共画面へ表示している。100万円を超える支には税理士と私の承認をし、座操作と契約変更の履歴は自で保する仕組みに変えた。
残っていた1億9300万円は、果園再発の目以に使えない管理座へ移した。凍らせたまま守るのではなく、老朽化した蔵設備、台対策、従業員の全へ順番に使う。その計画を、父の代から働くにも入社1目のにも同じ資料で説した。
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「経営の素が、急に全部決めるつもりはありません」
私は会議の冒でそう告げた。産部は野さんに統括を頼み、県内の農業法で経営管理をしていた女性をしい代表取締役として迎える。私は100%株主として監督と資管理を担い、現の判断は経験のあるへ任せる。ただし、任せることと見ないことは度と同じにしない。
しい代表は、最初の会議で「分からない支を見つけたら、に関係なく止めてください」と全員へ伝えた。若い従業員からは農薬購入の決裁方法、選果班からは休勤の扱いについて質問がる。以なら健太郎の嫌を見て黙っていたたちが、自分の言葉で会社の仕組みを確かめていた。
私は議事録を取りながら、父が望んでいたのは、ひとりのい社ではなく、誰かが違えたときに止められる会社だったのだと気づいた。
従業員18のうち、辞めたはひとりもいなかった。未払いだった6か分の残業代を精算し、48の緊急荷に参加したには特別当も加えた。与細を受け取った若い従業員は、封筒を何度も確かめてからくをげた。
「さんには、残業をつけると会社が潰れると言われていました」
「会社を守るために、働いたを消す必はありません」
私が答えると、会議の空気がしだけ緩んだ。
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次の課題は、果園奥のだった。売れば資の部を回収できるが、建物は農のにあり、般宅としての価値はくない。方で、選果からい区画には休憩所がなく、従業員はのも軽トラックので昼を取っていた。
私は空になったを歩き、子ども部の壁やリビングの傷を見た。秘密をったの痛みは残っている。それでも、建物へりをぶつけても6000万円は戻らず、働くの環境も変わらない。
リビングのには、豚汁を置いたあのについたい染みが残っていた。清掃業者は磨けば消えると言ったが、私はそのままでいいと答えた。忘れないことと、傷のへみ続けることは違う。用途を変え、の声できしていけばよかった。
「ここを休憩所と、さな試に改装したいといます」
台所は共同利用にし、には具を乾かす設備を入れる。ウッドデッキでは収穫期に予約制の試会をき、規格のりんごを使った商品も紹介する。改装費はたにをかけず、使える具と設備を残して480万円以内に抑えた。
事初、野さんが玄関から古い表札をした。健太郎が族の名字を刻んだ板のから、建築に隠れたさな傷が現れる。
3週、最初の試会には隣の族24が訪れた。かつて子ども部だった所には、品種ごとの甘さと酸を示す表を置き、会社の資で買われたダイニングテーブルは休憩用として残した。