"果樹園の奥の家" 第13話
「私は会社の座を操作したことがありません。そもそも、社員でもありません」
美代子が壇へがると、初枝は「裏切り者」と声をげた。しかし彼女は振り返らず、自分のスマートフォンを映像端末へ接続した。
「私は、健太郎さんが独だと信じていました。らなかったから被害者だとだけ言うつもりはありません。このおで子どもを育てた責任は、調査を受けて返せるものを返します」
美代子は120へ向けてをげた。言い逃れではなく、自分にも向けられる線を引き受けたことで、会のざわめきはかえって静まった。
画面に、健太郎から届いたLINEが表示される。
『4000万円は会社からとしてす』
『の1200万円も帳簿は設備費にする』
『調べられたら、美代子が勝に4700万円をかしたことにしよう』
送信と話番号まで表示され、会がきくざわめいた。美代子は、偽造された業務委託契約も示した。自分を資管理担当者に仕て、罪を押しつけるための類だ。
「このは私を妻だと言いながら、捕まるときだけにするつもりでした」
健太郎が端末へを伸ばしたが、先がに入った。
「データはすでに警察へ提済みです。ここで壊しても消えません」
逃げを失った健太郎は、今度は黒い鞄から1枚の契約を取りした。
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0円の株式譲渡契約だった。
「の使いなんて、もう関係ない。栞は全株式を俺に譲った。会社が俺のものなら、会社のをどう使おうと俺の自由だ!」
その叫びに、初枝だけが「そうよ」と拍した。
私はスクリーンの表示を消し、健太郎が掲げるを見げた。
「では、その0円の契約がどう作られたのか、皆さんに見ていただきましょう」
第15話 0円の譲渡契約
スクリーンに、健太郎が掲げたものと同じ株式譲渡契約が映しされた。
契約は、私が京都内の病院でドックを受けていた。野の本社で署名押印したとする記載とは、受付刻もカード決済記録も両しない。
続いて、跡鑑定と印鑑定の結果を表示した。署名は私の賀状から文字を切り貼りした能性が極めてく、実印も過の委任状から画像を複製したものだった。
「鑑定なんてを払えばどうにでもなる!」
健太郎が鳴ると、私は再ボタンを押した。
夜018分。誰もいない事務所へ入る健太郎と初枝の姿が現れた。複ので古い委任状をき、私の印を拡する元まで鮮に映っている。
別角度の映像では、健太郎が完成した契約を照へ透かし、「これで栞はただの元妻になる」と笑っていた。初枝は京都のの取り図を広げ、奈緒には向きの部を使わせると話している。
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私を追いしたの暮らしまで、偽造したので決めていた。
『栞の署名は、賀状から写せばいいんだね』
初枝自の声が宴会へ流れた。
『0円で株を譲った形にすれば、あいつを追いしても全部俺に残る』
健太郎の返事が続いた瞬、初枝の顔から血の気が引いた。奈緒は子からちがり、「私には譲ってもらったとしか言わなかったじゃない」と兄を見つめる。
映像には器固番号、保刻、入退記録が付いている。健太郎が現のレコーダーだけを削除した操作履歴も示され、偶然や編集では説できなかった。
奈緒はそので胸章をし、初枝かられた。「私は偽造なんてらなかった」と泣きながら言うと、健太郎は妹にまで「黙っていれば部をやる約束だっただろ」と鳴った。その言で、初枝が先ほどまで否定していた京都のの分配計画まで裏づけられた。
120ので作りげた「果園を守った社」という姿が、音声ひとつで崩れていく。さきほどまで拍していた々は目を伏せ、取引先の代表は胸章をして机へ置いた。
健太郎は契約を破ろうと両でつかんだ。先が止めるよりく、会方の扉がく。
入ってきたのは、私の捜査員と制警察官だった。
警察官の姿を見た初枝は、再器へワイングラスを投げようとした。
野さんが腕を押さえ、グラスはテーブルへ落ちて赤い液体をこぼした。捜査員はその為も制止し、会の入を確保する。