"果樹園の奥の家" 第9話
私はようやく息を吐き、父の名が残る板を見げた。会社を守ったのは奇跡ではない。記録と、父がに返してきた信頼だった。
そのとき、果園のに1台のタクシーが止まった。りてきた美代子は、子どもたちのを引かず、ひとりでっていた。
青ざめた顔で差ししたのは、健太郎と連絡を取っていたスマートフォンだった。
「このに、私へ全部の罪をかぶせる相談が残っています」
第10話 内縁の妻が差ししたスマホ
美代子は事務所へ入るなり、スマートフォンを両で机へ置いた。眠っていないのか、目のには濃いがあり、エプロンではなくな紺のコートを着ている。
「子どもたちは、姉のに預けました。あのにも、もう戻りません」
私は端末に触れるに、先へ連絡した。美代子本の同を面に残し、内容を複製する。彼女も資の受け取り先であり、協力したからといって責任が消えるわけではない。それでも、証拠を隠さず子どもを全な所へ移した判断は尊したかった。
LINEには、6の活が付つきで残っていた。健太郎は美代子に独だと偽り、果園も会社も自分が所していると説している。京のマンションについては「6000万円のうち4000万円は会社からす。残り2000万円は栞のを担保にすれば払える」
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と送っていた。
画面を遡るほど、嘘は常の言葉に紛れていた。産には「戸籍は仕事が落ち着いたら入れる」、息子の入園には「京の拠点が完成したら4で暮らす」。美代子はその約束を信じ、父親欄が空の類をひとりで提していた。健太郎は2つの庭に別々の未来を語り、どちらの女性にも本当の数字を見せていなかった。
さらに、のと具へ1200万円、活費と子どもの費用へ800万円を振り込んだ記録も見つかった。4000万円、1200万円、800万円。計は、座から消えた6000万円と致する。
「私は、会社の利益からているとっていました」
美代子は声を詰まらせた。マンションの売買契約ものの請負契約も、健太郎が見せたのは表だけだったという。
「でも昨、あのからこれが届いたんです」
画面には、健太郎からのしいメッセージが表示されていた。
『栞が警察へくかもしれない。とマンションは美代子が欲しがり、会社の座を勝に使ったことにしてくれ。裏をわせれば子どもは守る』
その30分には、偽の業務委託契約が送られている。美代子を会社の資管理担当者に見せかけ、4700万円の送責任を押しつける内容だった。彼女の署名欄まで、すでに偽造されている。
「子どもを守ると言いながら、母親を犯罪者にするつもりだったんですね」
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私が言うと、美代子は唇を震わせ、くをげた。
「奥さんがいるとらなかったでは済まないことも分かっています。あなたの会社のおで暮らした分は返します」
彼女はマンションの鍵、のの鍵、預通帳を机へ置いた。座に残っていたのは286万円。京のマンションについては売却と保全に同し、子どもの類や薬以は持ちさないと申した。
先は鍵と通帳を1点ずつ撮し、受領刻を記した。美代子の端末は内モードにせず、通信状態を保ったまま専業者が複製する。送信者報や更刻を残さなければ、都よく編集した画面だと反論されるからだ。私は彼女に、今届く連絡を消さず、健太郎へ独断で返信しないよう頼んだ。
私は謝罪を受け入れるとも、許さないとも言わなかった。ただ、5歳と3歳の子どもを交渉材料にしないこと、聴取には弁護士をつけることを伝えた。が作った嘘の代償を、子どもに払わせる必はない。
先が端末のデータを保全していると、画面部に健太郎の投稿通が現れた。
『京育ちの妻が、収穫期の果園を突然乗っ取った。従業員と族を守るため、町の皆さんへ真実を話します』
投稿には、3にかれる「豊作謝会」の案内が添えられていた。会は町で最もきなホテルの宴会。
招待客は、取引先、農、元議員を含む120。
そして最に、こう記されていた。
『当、梨果の本当の経営者を発表します』