"果樹園の奥の家" 第7話
『あの京都のを担保に入れたら、京のマンションの残り2000万円も片づくね』
初枝の声を聞いた瞬、私は子の背を握った。彼らは6000万円を使ったあとも、私のまで奪い、さらに借の穴へ落とすつもりだったのだ。
りで胸がくなる方、父の声が記憶の底から蘇った。「を疑うためじゃない。真面目に働くを守るために記録を残すんだ」。父が残した仕組みが、今になって私を守っている。
私たちは映像の識別番号と保刻を記録し、原本データの証を取得した。先は細、偽造類、アクセス履歴とわせて告訴状をえ、そののうちに野県警へ事相談を入れた。派に逮捕を求めるのではなく、まず証拠を渡し、逃と隠滅の危険を伝える。
担当者からは、原本を保持したまま追加の操作履歴を確保し、健太郎に捜査状況をらせないよう求められた。先は刑事告訴の正式提を翌朝に設定し、にも裁判所への保全申てを準備していると通した。で警察がくとしても、それは突然現れるのではない。この夜の続きが、その最初の引きになる。
午1146分、会社の監システムから警告メールが届いた。健太郎の端末が、取引先名簿と荷契約の括削除を試みている。
私は迷わず、株主として子決議へ署名した。
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「の朝、健太郎を代表取締役から解任します」
第8話 解任された「社」
翌朝7、梨果の事務所には、収穫班と選果班の従業員18が集められていた。蔵倉庫から運ばれるりんごの甘い匂いので、誰もが落ち着かない表を浮かべている。
健太郎は私より先に来て、事務机のに腕を組んでっていた。
「栞が会社を乗っ取ろうとしている。素の命令を聞けば、今の料もなくなるぞ」
従業員たちのにざわめきが広がる。運営を任せきりにしていた3、現で「社」と呼ばれてきたのは健太郎だ。登記や株式の説だけでは、の信頼まですぐには変えられない。
選果台の脇では、若い従業員が軍を握りしめていた。隣には、父の代から働く野さんが黙ってっている。6か分の残業代が未精算だとったのは昨夜だった。健太郎は資を理由に支払いを先延ばしにしながら、その裏で別の族へ800万円を流していたのだ。
私は野さんの横へち、夜に準備した資料を全員へ配った。
「料は予定どおり25に支払います。未払いになっていた残業代も、過6か分を今週に精算します。その原資は確保済みです」
資料には与座の残証と、税理士が確認した支払い予定表を添えた。言葉より数字を示したことで、ざわめきがしずつ収まっていく。
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先が、100%株主による臨株主総会の決議を読みげた。会社資4700万円の朗な流、証拠データの削除未遂、な忠実義務違反を理由に、健太郎を代表取締役から解任する。変更登記の申請は、すでに司法士が法務局へ提していた。
「こんな切れで、俺を追いせるとうな!」
健太郎がパソコンへ駆け寄ったが、ログイン画面はかなかった。メール、座、法カード、倉庫の子鍵。昨夜の削除未遂を受け、すべての管理権限を止してある。
彼は拳を机へ叩きつけた。その衝撃でペンてが倒れたが、誰も拾おうとはしない。
「この果園をかしてきたのは俺だ。栞に何が分かる。の荷先も、トラックの配も、全部俺しからないんだぞ」
私は保した契約覧をいた。すると、今週分だけ取引先名と配番号が空欄になっている。健太郎は削除に失敗する、部分を別の所へ移していたのだ。
野さんの顔が変わった。倉庫には収穫済みのりんごが38トンあり、契約したへ48以内に荷できなければ、品質だけでなく違約も発する。蔵設備の容量にも限界があり、次の収穫を止めれば畑の実まで傷む。
事務所の窓から、収穫用コンテナを積んだ台が見えた。赤い実は待ってくれない。
今の午にも次の8トンが運び込まれ、蔵庫の空きはさらに減る。契約先を失えば、築いた信用まで度で崩れる。