"果樹園の奥の家" 第6話
健太郎が原本を自分から持ちしたことで、所まで確認できた。
「その契約を、今ここで効だと主張するのね」
「当たりだ。おが忘れているだけだ」
先が付を読みげた。そのは私が京都内の病院でドックを受けており、受付刻、診察記録、カード決済が残っている。契約には野の本社で私が署名押印したとあるため、両方が同に成することはない。
「しかも印の輪郭が、3の委任状と完全に同じです」と司法士が指摘した。「実印を押すたびにじる朱肉の濃淡や微細な欠けまで致している。画像を複製した能性がいですね」
健太郎は反射に初枝を見た。その瞬で、誰が印を用したのかまで伝わった。初枝は膝ので両を組み、指輪を回し続けている。
初枝は「細かいこと」と笑おうとしたが、乾いた声しかなかった。
そのとき、健太郎の携帯が続けて3回鳴った。画面には、会社座の振込止、法カードの利用制限、管理者権限の保留をらせる通が並んでいる。
「何をした!」
「2億4000万円あった再発資から、あなたは4700万円をかした。私が補填した1300万円とわせれば、流額は6000万円。残っている1億9300万円まで奪われるに、保全を依頼しました」
数字を聞いた奈緒が息をのみ、初めて兄を振り返った。
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「兄さん、6000万円って何?」
「設備投資だ。栞が経営をらないから誤解している」
「では、京のマンションとの宅が、果園のどの設備に当たるのか説してください」
私が細の写しを示すと、健太郎は奈緒から目をそらした。初枝も、会社の額まではらされていなかったらしく、4000万円の振込先を見て唇をいたまま固まった。
健太郎は答えず、契約をつかんでちがった。だが先がのへち、い声で告げた。
「その類は持って帰らないほうがいい。偽造を証する、な原本になりますから」
第7話 父が残したクラウド
健太郎は株式譲渡契約を鞄へ戻そうとしたが、司法士が原本の状態を撮し、先は提を求める面をそので渡した。力ずくで奪えば防犯映像に残ると分かったのか、夫は舌打ちして座卓へ放り投げた。
「勝に調べればいい。栞が自分で押した印だ」
「では、警察にも同じ説をしてください」
私の言葉に、初枝の顔が初めて引きつった。
3が帰ったあと、先は斎のパソコンで、父が契約していた会社用クラウドをいた。果園では以、農具の盗難と夜の法投棄が続いたため、父が選果と事務所に防犯カメラを設置していた。映像は現のレコーダーだけでなく、改変できない形で90、部サーバーへ保される。
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健太郎はローカル側の記録を削除していたが、クラウド側の契約まではらなかったらしい。
付を絞ると、株式譲渡契約が作成された3の映像が残っていた。夜018分、誰もいないはずの事務所へ健太郎と初枝が入り、複ので類を広げている。
映像のには器固番号と秒単位の刻が表示され、入退カードの記録とも致していた。別角度のカメラには、健太郎が私の古い委任状を複へ置き、印部分だけを拡する様子も映っている。偶然や記憶違いでは逃げられない、作業の順そのものだった。
先が音量をげると、母子の声が鮮に流れた。
『栞の署名は、賀状から写せばいいんだね』
『印はの委任状をスキャンした。0円で株を譲った形にすれば、あいつを追いしても全部俺に残る』
画面ので初枝は、私名義の委任状へ文字をなぞり、健太郎はパソコンで臨株主総会議事録を作っていた。さらに翌週の映像には、偽造が発覚したの裏わせまで残っている。
私は音声をき起こしながら、何度も指を止めた。夫の裏切りだけなら、結婚を見る目がなかった自分を責めて終われたかもしれない。けれど2は父の会社を奪い、18の従業員とその族の活まで担保にしようとしている。
しみに沈んでいるは、もう残されていなかった。
『美代子には何も言うな。奈緒にも、会社を譲ってもらったとだけ話せばいい』