"果樹園の奥の家" 第2話
女性はからスマートフォンを取りげると、子どもたちをへ戻した。
「らないに余計なことを話しちゃだめでしょう。健太郎さんの仕事相なら、用件は私が聞きます」
私が名乗ろうとしたとき、いた玄関の奥に1枚の写真が見えた。製の棚ので、健太郎と女性と2の子どもが、満のりんごのを背に笑っている。額縁の横には「美代子へ 6周」とかれたのプレートまで飾られていた。
「6周というのは?」
女性――佐藤美代子は、写真を隠すように玄関へった。
「私たちが緒になって6です。息子は5歳、娘は3歳。健太郎さんは、ここで族と暮らしています」
その言い方には迷いがなく、むしろ私のほうを侵入者だとっているようだった。
6なら、私と健太郎はまだ会ってもいない。父の葬儀を伝い、っていた私に毎のように話をくれたのが3。その半に結婚を申し込まれたとき、私はようやくしい族ができるのだと信じた。だが健太郎には、そのから守っていた族がいたことになる。
胸の内側を鈍い刃で押されるような痛みがった。それでも、目のの子どもたちに罪はない。私は声が震えないよう、度ゆっくり息を吐いた。
のから、煮物の匂いが流れてきた。玄関には用の靴が2分並び、壁には健太郎の着、子どもが描いた4族の絵、そのには「ぱぱ まま」
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と丸い字が添えられている。週5の仕事。夜まで続く打ちわせ。繁忙期だから泊まるという連絡。夫の説が、目のの活用品にひとつずつ置き換わっていった。
私は豚汁の容器を面に置いた。3かけて柔らかくした根も里芋も、もう誰にべてほしかったのか分からない。
「このの建築費は、誰が払ったんですか」
「健太郎さんです。、1200万円かけて建ててくれました。京にも、私たちのためにマンションを用しているって」
美代子は警戒しながらも、隠す必はないと判断したらしい。夫がに何度も泊まり、子どもの事にも父親としてていることを淡々と話した。
「先の運会も来ました。平はほとんどここで夕を取るし、娘がをした夜は朝まで抱いていた。私たちは式を挙げていないだけで、普通の夫婦です」
そのひとつひとつが、私には健太郎から届いた「会議が引く」「害獣がた」「倉庫に泊まる」といういメッセージの付となった。彼がの卓で、めた噌汁を流しへ捨てた夜の数まで蘇る。
りより先に、たい納得が胸へ沈んだ。健太郎は収穫期になると会社の資繰りが苦しいと言い、私に何度も補填を求めた。結婚の3で、私が個座から会社へ移したは1300万円に達している。
そのが、どこへ消えたのか。
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「今は京のへ荷にったと聞いています」
私が告げると、美代子は度だけの奥を見た。ほんの瞬だったが、その目のきを私は見逃さなかった。
「健太郎さんは、今どこにいるんですか」
「荷でしょう。私には分かりません」
では否定しているのに、彼女のはエプロンのポケットをく握っていた。そこから、別のスマートフォンの角がのぞいている。
私は自分の携帯を取りし、健太郎の番号を表示した。
「では、本に聞きます。ここへ来られるか、20分だけ待ってみましょう」
第3話 20分の嘘
私は美代子のからしれ、りんご畑と玄関の両方が見える所で健太郎に話をかけた。
3回目の呼びしで、夫はようやくた。背からいエンジン音のようなものが聞こえる。
『今、荷を積んで京へ向かっている。忙しいんだ。何かあったのか』
いつもの落ち着いた声だった。以なら、その言で引きがっていただろう。けれど目のには、彼の作業着が干されたと、彼を父と呼ぶ2の子どもがいる。
「果園の奥にいるの。らないを見つけたわ」
話の向こうで、エンジン音がふっと途切れた。それが録音だったと気づいた瞬、首筋がたくなった。
『勝に入ったのか。そこは資材管理を任せているのだ。すぐりろ』
「私の所者は私よ。
説できるなら、20分以内に来て」