"出産予定日2日前、家を追い出された" 第9話
私は娘を抱いたまま病の端末をき、録画映像を見守る。
ドアをけた佳代は、藤原の名刺を見るなり顔をしかめた。
「弁護士まで使って、嫁が姑を脅すつもり?」
「脅迫ではありません。所者である本由美さんから、建物のけ渡しを求める正式な通です」
「14でていけなんて、脅しと同じじゃない!」
「14は自主な退を求める期限です。応じなければ、占状況を確認したうえで法続きへ移ります。今ここで鍵を替えたり、荷物をへしたりする通ではありません」
藤原は相に言い逃れを与えないよう、制できることと、まだできないことを分けて説した。その静さが、佳代の鳴り声をかえって幼く見せた。
藤原が封筒を差しすと、奥から健が現れた。昨までのスーツではなく、しわの寄った部着を着ている。自宅待を命じられたことを所にられたくないのか、を確かめてから声を落とした。
「ここは夫婦でんできただ。由美だけのものじゃない」
黒川が登記事項証の写しをいた。所者欄には、私の名しかない。購入も結婚の1で、資がき母の遺産からたことは、通帳と売買契約で確認できる。
「健さんにも佳代さんにも、持分はありません。2500万円の担保設定を無断で申し込んだ件についても、関係類は保全されています」
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佳代の顔から血の気が引いた。
「健、このはあなたが買ったんじゃなかったの?」
「結婚したら同じだろ! 由美は俺の妻なんだから」
「妻の財産は、夫の自由になるものではありません」
藤原の声は穏やかだったが、健は反論できなかった。玄関の隅には、私の実印を探したときにけたのだろう、引きしが半分抜けたまま置かれている。
藤原は、私の実印、共タブレット、母の売買契約を勝に処分しないよう、証拠保全の通も読みげた。健は「そんな物はらない」と答えたが、線だけが廊奥の斎へく。その瞬も、2台の録画器に残った。
そこへ、黄いおくるみを抱いた美が階段からりてきた。彼女は通と登記簿を交互に見て、健へ詰め寄る。
「居になるって言ったよね。2500万円も、このを担保にすれば問題ないって。全部、奥さんのだったの?」
「今は俺が管理してる。由美さえ黙れば——」
「4800万円のことも黙らせるつもりだった?」
美がにした数字に、佳代が息をのんだ。健は彼女の腕をつかもうとしたが、黒川がへ入る。防犯カメラだけでなく、藤原の胸元の器にも会話は記録されていた。
そのとき、美の携帯が鳴った。相は父親だった。彼女が部監査と偽造類のことを伝えると、話からきな声が漏れる。
《3000万円の話はだ。
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そんな男との入籍も認めない》
健は話を奪おうとしたが、美はそのを払いのけた。黄いおくるみをスーツケースへ押し込み、玄関へ向かう。
「美、今ていったら、子どもの父親にはならないぞ」
「最初から、おがなければなる気なんてなかったんでしょ」
ドアが閉まると、の効いたへたいが流れ込んだ。かつて私がたされた所で、今度は健が、っていく相の背を見ている。
佳代は追いかける代わりに、「あの女まで恩らずね」と吐き捨てた。健も母を止めず、3000万円を失ったことばかり責めている。画面越しにその姿を見ても、以のように胸は痛まなかった。2が切にしていたのは族ではなく、自分のために差しされると労力だったのだ。
そのの午、美からいメッセージが届いた。
《620万円について、へ返の同をします。ただし、私がっていることも全部話します》
第11話 620万860円
美との続きは、の担当者と藤原を交えたオンライン面談でわれた。彼女は実のから接続し、化粧をしていない顔で画面の端を見つめていた。
送された620万円は、座が凍結されたため1円もかされていなかった。美が受領の経緯を説し、自主返の面へ署名したことで、は組戻しの処理をめることになった。
画面には、1812分に入され、翌朝94分に利用制限が掛かった履歴が表示された。