"出産予定日2日前、家を追い出された" 第6話
やはり、私の署名を偽造した婚届をそうとしていたのだ。受理申がなければ、産に戸籍の続きまでめられていたかもしれない。
「私が自分で申したの。婚はする。でも、あなたが作った偽の類ではしない」
「おにそんなことができるわけ——」
「できたわ。これからは、私のをあなたに決めさせない」
通話を切ると、病にはモニターの定した音だけが残った。指は震えていたが、恐怖ではない。6、度も言えなかった言葉を、ようやく自分の声で言えたのだ。
黒川は録音データを保し、通話刻と役所の環境音を記録した。その直、別の番号から着信が入る。画面には「坂本美」と表示されていた。
話にると、女は挨拶もせずに言った。
「620万円を返せって、から連絡が来たんですけど。あれは健さんが私と赤ちゃんにくれたおです」
私は録音表示を確かめ、静かに問い返した。
「あなた、健の子ではないとりながら、父親にするつもりだったの?」
受話の向こうで、美の息が止まった。
第7話 3000万円の嫁
数秒の沈黙のあと、美はき直ったように笑った。
「血がつながっていなくても、父親になるって健さんが言ったんです。あなたとは昨婚したって。620万円も、あなたに慰謝料を払ったあとに残った自分の貯だと聞きました」
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「黄いおくるみを、私の入院バッグに入れたのはあなた?」
「健さんに渡しました。奥さんの荷物がまだあるなんてらなくて……でも、あなたも妊娠していることは聞いていました。もう夫婦として終わっているから関係ないって」
らなかったのではない。確かめなかったのだ。その差はさく見えて、私と赤ん坊をから追いすには分なさを持っていた。
私は窓のへ目を向けた。の切れからいが差し、病のに細い線を作っている。目のに美がいればをぶつけていたかもしれない。けれど話越しだからこそ、聞くべきことを選べた。
「昨、婚は成していない。620万円は私名義の座から、私の承諾なしに送られたおよ」
「嘘。だって婚届の写真も見せてもらったし、あなたは実へ帰るって——」
「私は予定2の夜、荷物ごと追いされた。健はその1に620万円を送し、私の携帯回線と病院の入院予約まで止めようとした」
美の呼吸が乱れた。彼女は私のをらなかったわけではない。ただ、婚が決まった邪魔な妻だと説され、それを信じたいまま受け入れたのだ。
「あなたのお父さんが約束した3000万円は、いつ健へ渡る予定?」
「入籍して、子どもの届をしたあとです。健さんが正式に父親になれば、父が会社の運転資として貸すと……」
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美の父は、相に逃げられた娘と孫を配し、結婚活の基盤を作る資として3000万円を用していたらしい。健は「都設の管理職なら返済できる」と説し、美には居、父親には事業投資と、相ごとに違う言葉を使っていた。
「都設では今朝、部監査が入った。健の承認した発注から、4800万円の差額が見つかっている」
「そんな……聞いてません」
声から気が消えた。健は私の620万円だけでなく、美の父の3000万円まで、発覚し始めた穴を埋める資として数えていたのだろう。
私は責める言葉をのみ込み、1つだけ条件をした。
「あなたが持っている婚届の写真、健とのメッセージ、620万円についての説を、そのまま送って。の調査には事実を話してほしい」
「送ったら、おを返さなくていいんですか」
「それを決めるのは私ではない。ただ、隠せばあなたも共犯だと疑われる」
美は返事をせず、話を切った。5分、端末に画像が12枚届く。偽造された婚届、健が「には由美を追いす」といたLINE、620万円を居のだと説した音声。そのには、美自が「奥さんの同はあるの?」と尋ね、健が「署名はもらった」と答えた記録もあった。
最に送られてきたのは、融会社の融資申込だった。
黒川が12枚を刻順に保し、藤原弁護士へ共する。
美は最のメッセージに《私は騙された側です》といていたが、620万円を受け取るに妻の同を疑っていた記録は消せない。