"出産予定日2日前、家を追い出された" 第2話
すぐに温められたの部座席へ案内され、膝には柔らかな毛布が掛けられた。内の気に包まれて初めて、自分の歯がさく鳴っていたことに気づいた。
「どうして、こんなにく来られたの?」
がりしてから尋ねると、父ではなく助席の黒川が振り返った。
「実は約20分、由美様のかかりつけ病院から会へ連絡がありました。入院と分娩の予約を取り消す話が入ったものの、ご本への確認が取れなかったそうです」
私の背にたいものがる。キャンセルなど頼んでいない。
病院は本確認のため私の携帯へ何度も話したが、つながらなかった。そこで診療記録に第2緊急連絡先として残っていた父へ連絡したという。ホールディングスの支社が隣の区にあり、父と黒川は会議を終えた直だった。のため系列会社のも集め、私のへ向かっている途で、あの話を受けたのだ。
「だから10分だったのね」
偶然ではない。私が助けを求めるから、誰かが異常に気づき、いてくれていた。その事実が、え切った胸にゆっくり染み込んだ。
父はを向いたまま言う。
「謝るのは私のほうだ。反対するだけで、おが戻れる所を残してやらなかった」
「私が選んだ結婚だもの」
「だからといって、臨の娘がにたされていい理由にはならん」
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い会話のあと、父のきなが毛布のから私のを包んだ。会社で何千をかすのなのに、指先はかすかに震えていた。
は予定していた産科病院の救急入へ着いた。豪華な別の病院へ移すのではなく、妊娠初期から私と赤ん坊を診てきた医師のもとへ直したことに、父の配慮をじた。
い診察には消毒薬の匂いが漂い、胎児拍モニターの規則正しい子音が響いた。助産師が腹部へセンサーを当てると、画面にさな波が並ぶ。
「軽い張りはありますが、赤ちゃんの拍は定しています。いストレスとえがなったのでしょう。今夜はしばらく観察しましょう」
その言葉を聞き、ようやく息を吐けた。けれど、ベッド脇の入院バッグをいたとき、見覚えのない黄いおくるみが奥から滑り落ちた。
私が用したのは淡い緑だけだ。黄い布からは、では使っていない甘い柔剤の匂いがした。
3の夜、健が寝の引きしを何度もけていた姿が脳裏によみがえる。「保険証券はどこだ」「印鑑は?」と、普段は計を私に任せきりのが、珍しく類の所を聞いてきた。
助産師が黄い布を透な袋へ入れてくれたところで、担当医が険しい表で戻ってきた。
「本さん、先ほどのキャンセル話について確認できました。
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話をしてきた男性は、ご主を名乗り、『妻は別の病院へ移った』と説しています」
父の元がくなる。私は録音のボイスメモを止め、保刻を確認した。
すると仮の通信端末を用していた黒川が、もう1つの画面を差しした。
「由美様。保険会社からも、今夜、異常な変更申請が入っています」
第3話 消された入院予約
画面には「契約内容変更受付」の文字があり、所、付の振込先、受取に関する項目が並んでいた。ただし処理済みではなく、本確認に備があるため保留と表示されている。
「私、こんな申請はしていません」
声にすると、りより先に恐怖が押し寄せた。を追いすだけではりず、私が産む所も、産に受け取るおも、健は私のらないところでかそうとしていたのだ。
黒川が保険会社の緊急窓へつなぎ、私は自分の氏名と契約番号を告げた。担当者によれば、申請には私の分証を撮した画像が添付されていたが、画像の部が鮮で、登録済み端末とも致しなかったため止まっていたという。私は申請を否認し、契約に正利用の警告を付けてもらった。
病院側も、私の同がないキャンセルは受理していなかった。今、健や佳代から問いわせがあっても、病、診療内容、産の無を含め、何も答えない。
カルテにはその指示が記され、面会許も私だけが管理することになった。
「携帯が圏だったのも、故障ではありません」