"財産は長男へ――8年間介護した次男に残されたのは、古びた倉庫一軒だけだった" 第8話
当の顧問税理士の記録と警察への相談受理記録も、その証言と致している。
判決の、裁判は裕の請求をすべて退けた。
公正証遺言は効。486本のは正の個財産であり、遺言により浩司が取得した。庭裁判所が許した遺留分放棄にも、無効となる事はない。
続いて反訴について、裕には残元3100万円と、支払期限の遅延損害を支払うよう命じられた。訴訟費用の部分も裕の負担となった。
25億円を得るために起こした裁判で、裕がにしたは1円もない。それどころか、自分の借だけが判決として確定した。
裁判所をると、裕は階段ので浩司を待っていた。
「勝ったつもりか。俺にはもも会社もある。3100万円くらい、いつでも払える」
「勝ち負けにしたのは、おだ」
裕が言い返そうとした、胸ポケットのスマートフォンが鳴った。画面を見た途端、がっていた顔から血の気が引いていく。
話の相は、相続したと田畑に抵当権を設定しただった。
第11話 5000万円と47回の頼み
裕が相続した預の半は、すでに失われていた。
父の、裕は野県内で計画された規模太陽発事業へ資を投じていた。国の制度に支えられた全な事業だという説を信じ、相続した預に加え、と田畑を担保に8000万円を借りた。
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しかし、事業者が示した事写真と捗報告のくは別の現のものだった。は部しか取得されず、送設備の申請も通っていない。集めた資は事業の赤字補填へ流れ、代表者は連絡が取れなくなった。
裕がをめぐる裁判に執着しているに事業会社は破産を申して、から括返済を求められた。父から9にもらった2億円で過の負債を埋めた裕の会社も、すでに借入なしでは回らない状態だった。
、田畑、、会社の事務所を処分しても債務は残る。会社と自宅を守るには、期限までに約5000万円を用しなければならなかった。
判決から2週、裕は1で浩司のむアパートへ来た。以の級ではなく、駅からのを歩いてきたらしい。濡れた着のまま、玄関先でをげた。
「5000万円、貸してくれ」
「への返済か」
「そうだ。おにとっては、の延べ棒を3本売る程度だろ。5000万円あれば、も会社も守れる」
「額の問題じゃない」
「兄弟だろ」
裕はすぐにその言葉を使った。父の介護には、度もにしなかった言葉だった。
浩司は玄関脇に用していた茶い封筒を取りした。は、父の血圧、体温、事、薬、通院、転倒を記した8分の介護記録と、親族へ助けを求めたの覧だった。
浩司から裕への話やメッセージは47回。
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来てほしい、病院へのをしてほしい、せめて晩だけ交代してほしいと頼んだ記録が残っている。
裕が来た回数は、0回だった。
「何だ、これは」
「父さんが過ごした最の8だ」
「こんなを理由に、5000万円を断るのか」
「千恵が学へくために必だったのは82万円だ。俺は介護費と葬儀費の替分だけでも精算してほしいと頼んだ。おたちは何と答えた?」
裕は目を伏せた。の丈にった学をしろ。倉庫を売ればいい。自分と美咲が送った言葉を、忘れたとは言えなかった。
「あのは、倉庫にがあるとらなかった」
「がなければ、族じゃないのか」
廊の奥には苗と千恵の気配があったが、2は姿を見せず、浩司に任せていた。
「俺がをげても駄目なのか」
「をげる相が違う。墓へって父さんに謝れ。これを読んで、自分がいなかった8をれ。そのあとで、自分の借は自分で返せ」
裕の膝が、ゆっくりと廊のについた。
「頼む。5000万円だけでいい」
「貸さない」
浩司の返事は変わらなかった。裕はちがる、壁へをつかなければならないほどを震わせながらも、最には介護記録の封筒を持って帰った。
数、武田の競売続が始まり、美咲は実へ戻った。裕の会社も破産続に入り、浩司への3100万円は裁判所を通じた返済計画に組み込まれた。
1か、茶い封筒だけが浩司のもとへ返ってきた。
表には裕の字で、い文がかれていた。