みかん小説
本棚

"財産は長男へ――8年間介護した次男に残されたのは、古びた倉庫一軒だけだった" 第7話

「私、そんな話は聞いてない」

「昔の借を返したんだ。もう残っていない」

の声がずった。塚本は審判をもう度確認し、依頼へ厳しい目を向けた。

「この審判が効なら、遺留分侵害額請求はできません。からったというだけで、放棄が無効になるわけでもありません」

は続けて、遺言作成の映像を再した。画面のの正は、財産の内容と渡す相を自分の言葉で説している。作成の診断記録、公証との面談記録、の署名にも、判断能力のを示すものはなかった。

「現点の資料を見る限り、25億円の請求を維持するのは困難です」

塚本が告げると、裕子からを乗りした。

「遺留分が駄目でも、あのは会社から隠したかもしれない。違法ななら、浩司の物にはならないだろう」

は赤い封筒を閉じ、代わりに青いファイルを机の央へ置いた。

からてきたのは、武田精密を送元とする6枚の振込記録だった。計3200万円。支払先は裕が作った注会社だが、請求に記載された加も修理も、納品された記録がない。さらに、そのが裕座へ移り、失敗した取引へ使われた流れまで残されていた。

「会社から無断でした記録ならあります。正さんではなく、裕さんのものですが」

広告

が20の借用を示すと、裕は古すぎて効だと言い返した。しかし、そのには9付がある債務確認があった。父から2億円を受け取ったに、残元3100万円のと返済義務を裕が改めて認め、実印を押している。

しかも公正証遺言には、個別記載のない切の債権を浩司へ相続させると定められていた。

「支払期限は正さんの6かです。期限が来れば、浩司さんには全額を請求する権利があります」

25億円を取りに来た裕が、逆に3100万円を支払う側になった。

それでも裕類を払いのけ、席をった。

「こんな話で終わるとうな。別の弁護士を探して、今度こそ裁判にする」

第10話 兄が選んだ裁判

の説を聞いても、裕は請求を取りげようとしなかった。塚本弁護士との契約を打ち切り、別の事務所を4軒回った末、5軒目でようやく訴訟を引き受ける弁護士を見つけた。

ただし、遺留分の請求ではない。公正証遺言は浩司の誘導によって作られたため無効であり、486キロのも正ではなく、武田精密の会社財産だったという主張に切り替えていた。

訴状を読み終えた苗は、るより先にく息を吐いた。

「8介護したことまで、父親を孤させた証拠にされるのね」

「主張だけなら何でもけます。

広告

裁判で必になるのは、それを裏づける証拠です」

の声は変わらなかった。

浩司は、兄が父の遺言と族の活へ度とさないなら、3100万円をすぐには取りてないつもりだった。しかし裕が裁判を選んだため、その条件を撤回し、父から相続した貸の返還を反訴で求めた。

裁判は半に及んだ。

側は、遺言作成当の正介護状態だったことを繰り返したが、映像のの父は氏名、付、資産の内容を正確に答えていた。診察した医師も、公証と単独で面談したの記録も、判断能力に問題がなかったことを裏づけた。

については、30にわたる購入証、税務資料、父個座から支払われた記録が、製造番号ごとに照された。特許使用料、株式の売却代、役員報酬、退職という原資も追跡でき、会社の資とは確に分けられていた。

そして証席には、武田精密の元泰造がった。

「会社のを買った事実はありますか」

側の弁護士が尋ねると、は迷わず否定した。

「ありません。正の個財産です。会社から用途たことは、私がる限り度しかありません」

は法廷の裕を見た。

「20、武田裕さんが架空請求を使い、3200万円を送したです」

法廷の空気が変わった。

は、従業員37与を振り込めなくなった朝、正が自宅を担保にして分を補ったこと、裕正を認めて借用へ署名したことを証言した。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: