"財産は長男へ――8年間介護した次男に残されたのは、古びた倉庫一軒だけだった" 第4話
そのすでに浩司の名義だった倉庫ので、100億円を超える財産が眠っていたのだ。
「おじいちゃん、もうし分かりやすく教えてくれればよかったのに」
千恵は笑おうとしたが、先に涙がこぼれた。浩司は娘の肩へを置いた。
「今のは戻せない。でも、来は必ず受け直せ。学費のことは、もう配しなくていい」
野は、財産が見つかってもすぐ自由に使えるわけではないと釘を刺した。申告と納税、全な保管所への移送が必になる。浩司がすべて記録を残してめると答えると、は番号順に耐衝撃ケースへ収められ、系の保管施設へ移された。
作業が終わる頃、裕からメッセージが届いた。
〈倉庫はまだ売れないのか。固定資産税を払えず泣きついてくるなよ〉
続いて、美咲から国のを背景にした写真が送られてきた。
〈千恵ちゃんも、無理な学よりく働いたほうが親孝じゃない?〉
浩司は返信せず、2つのメッセージを保した。すると野が、庫の段にあった〈浩司へ〉という封筒を差しした。
裏には、父の字でだけかれていた。
〈裕には、絶対に見せるな〉
第6話 父が守ろうとしたもの
浩司たちは野の事務所へ移り、封を切るの状態を撮した。には便箋が12枚入っており、ろへむほど父の字はきく歪んでいる。
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病気でい文章をけなくなる直まで、しずつ残したものだった。
〈倉庫の壁までたどり着いたなら、計のも分かったはずだ。回りくどいことをさせて、すまなかった〉
父によれば、は武田精密で得た特許使用料、株式の売却代、退職の資などを、30以かけてへ替えたものだった。購入と納税の記録をすべて残したのは、浩司に円も疑いを背負わせないためだった。
しかし、裕にはをられてはならなかった。その理由は、20に起きた武田精密の資難にあった。
当、経理と仕入れを任されていた裕は、実しない注会社の請求を作り、6回に分けて計3200万円をの座から送していた。は名義の会社を経由し、失敗した取引の穴埋めに使われた。
正は警察へ相談し、被害届のきまで作ったが、母に止められた。事件になれば37の従業員と取引先にも響がる。結局、自宅を担保に入れて分を会社へ戻し、裕には借用をかせた。
それでも20で返されたのは、最初の100万円だけだった。そのも裕は、事業資や宅購入を理由にを求め続け、9には会社の債務理を名目に2億円を受け取っていた。
〈助けるたび、裕は許されたのではなく、自分なら何をしてもをしてもらえるとうようになった。
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私が裕を駄目にした。だから、このだけは渡してはならない〉
浩司は便箋を置き、野を見た。
「そこまで分かっていたのに、なぜも預も兄さんへ残したんですか」
答えは、次の便箋にあった。
、田畑、預、は、裕に与える最の取り分だった。何も残さなければ、裕は必ず浩司を疑い、倉庫まで調べる。目に見える財産を男へ渡せば、自分が勝ったとい込み、古い倉庫と止まった計を見すはずだと、父は読んでいた。
浩司には、8も介護をさせた。会社を辞め、腰を痛め、苗と千恵にも苦労をかけた。のためでないが何も受け取らなくてよい理由にはならない、と父は記していた。
〈このは、失ったの代わりにはならない。それでも、これからのを取り戻すために使ってほしい〉
計を420分で止めた理由も、最にかれていた。それは千恵がまれた刻だった。病院で赤ん坊を抱く浩司を見た正は、この子は自分よりよい父親になるとったという。
〈だから最に、父親として守るべきものを、おに託す〉
千恵は声をてずに泣き、苗がその肩を抱いた。浩司は涙が便箋へ落ちるに顔をげ、最の1枚を読んだ。
そこにはい指示だけが残されていた。
〈裕がをり、自分の取り分だと言いしたら、野先に預けた赤い封筒をけてもらえ。
そこには、私がもう度おを守るためのものが入っている〉