"義母に「車が狭いから、あなたは留守番ね」と置いていかれた私" 第1話
第1話 「が狭いから」
「が狭いから、あなたは留守番ね。族入らずで楽しんでくるわ」
曜の朝、義母の子は助席の窓からそう言った。今は彼女の寿を祝う1泊2の温泉旅で、旅館を探し、3分の宿泊費32万円を予約したのは私だった。それでも発の5分、私は突然、に残るよう命じられた。
「ろの席なら空いているでしょう?」
私が尋ねると、夫の浩司はのキーを握ったまま目をそらした。部座席にはいなかったが、見覚えのない淡いベージュの旅鞄が置かれている。
「母さんの荷物が増えたんだよ。無理に乗れば窮屈だろ」
「嫁が緒だと私も気を使うの。でゆっくりできるんだから、むしろ謝してほしいわ」
子は元だけで笑い、帰るまでに蔵庫を片づけ、自分の着物を干ししておくよう付け加えた。私は元の旅鞄を玄関へ戻し、2に向かって微笑んだ。
「分かりました。どうぞ楽しんできてください」
浩司はあからさまに堵し、を発させた。角を曲がる直、私はもう度を振った。あのベージュの鞄の持ち主が途から乗り込み、私の名で予約した部に泊まることも、すでにっていた。
が見えなくなると、玄関の扉を閉めた。リビングには2がべ散らかした朝が残されていたが、片づける気にはなれない。
広告
私はスマートフォンを取りし、登録しておいた番号へ話をかけた。
「森田さん、予定どおり発しました」
父の古い友で、産会社を営む森田修さんは、すぐに「分かった」と答えた。
「11に引っ越し業者と伺う。売買契約の原本も持っていくよ。本当に迷いはないんだね」
私は、父が43に建てたを見回した。も建物も、父から相続した私だけの財産である。それなのに浩司と子は15暮らしただけで、いつのにか自分たちのだとい込んでいた。
「ありません。父は、私がここで踏みつけられるためにを残したわけではないので」
話を切ると、耐庫から登記事項証、通帳、父の古い剪定鋏を取りした。自分の類とアルバムは昨夜までに箱詰めしてあり、持ちす物には青いテープを貼ってある。浩司と子の所物には、つも触れない。
午11、のに引っ越しトラックが止まった。ちょうど3、子は私に留守番を命じた。しかし玄関をけた私は、作業員へこう告げた。
「私の荷物だけ、すべて運びしてください。今、このをます」
第2話 このから消されるのは誰か
作業員が青いテープの箱を運ぶ、私はつずつ番号を照し、搬の内を撮した。相の物を処分したと言いがかりをつけられないよう、川弁護士から指示されていたからだ。
広告
ここまで準備をしたきっかけは、半に子が父の盆栽を鉢ごと捨てたことだった。
「古くて汚らしいのよ。庭を潰して駐にしたほうがましだわ」
のから父の剪定鋏を拾った、私はようやく理解した。を守ることと、こので耐え続けることは同じではない。それからを表にさず、浩司と子の言を記録するようになった。
最初に見つけたのは、浩司のポケットから落ちた葉酸サプリのレシートだった。決定だったのは、温泉旅の2週に届いた予約変更通である。3目の宿泊者は私から川優、31歳へき換えられ、プランも「妊娠5か」と記されたマタニティ向けに変わっていた。
さらに族カードの細を調べると、ホテル、宝飾、産婦科など、私のらない支払いが半で180万円を超えていた。浩司はとの費用を私の座から払い、最には寿祝いまで私に負担させるつもりだったのだ。
優本も、何もらなかったわけではない。1週、彼女は子に連れられ、リフォーム会社の担当者と緒にこのへ来た。きくなり始めた腹を撫でながら、父が残した黒柱を指して言った。
「ここを取れば、赤ちゃんの部を広くできますよね」
「もちろんよ。このの役目はもう終わったんだから」
子は私に3分のお茶をさせたうえ、優ので、子どもを産めない嫁はくていくべきだと言い放った。