"父が守った秘密" 第10話
『最初はそうった』
『でも、本当は俺より美のことを見ていた』
『ただ、し方がだった』
私は涙を拭った。
父も。
夫も。
同じだった。
がなかったわけではない。
ただ。
伝える方法をらなかった。
最のページ。
そこにはい文章があった。
『美』
『もし今、おが父さんを許せないなら、それでいい』
『もし俺を許せないなら、それでもいい』
『を許すことは、忘れることじゃないから』
『でもつだけ』
『自分のまで、過の傷に決めさせないでほしい』
私はノートを閉じた。
しばらくけなかった。
その夜。
私は真央に話をした。
「もしもし」
「お母さん?」
「真央」
私は言った。
「結婚のことだけど」
娘は黙った。
「お母さんは、あなたの代わりに答えをさない」
「でも」
「あなたがして、自分を失うような選択だけはしてほしくない」
話の向こうで。
真央が泣いている気配がした。
「お母さん」
「うん」
「ありがとう」
その言葉を聞いた瞬。
私は初めて理解した。
父が昔、私にできなかったこと。
そして。
私が娘にしようとしていたこと。
することと。
相のを支配することは。
似ているようで全く違う。
数。
私は父のへ向かった。
まだ聞かなければならないことがあった。
なぜ。
父は。
あのおを円も使わなかったのか。
そして。
浩が最に父へ頼んだことは何だったのか。
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私はまだらなかった。
父が守っていたものが。
おではなかったことを。
父のへ向かう途。
私は何度も考えていた。
。
浩は父におを送り続けた。
父はそれを受け取った。
でも。
円も使っていない。
なぜ。
正直に言えば。
私はまだし疑っていた。
どんな理由があったとしても。
父が私に何も言わなかったことは事実だった。
浩も同じ。
とも。
私のらないところで、私のについて話していた。
それはやっぱり。
寂しかった。
玄関をけると。
父は何も言わずに私を迎えた。
最の父は変わった。
昔なら。
「何の用だ」
それだけだった。
でも今は。
私の顔を見るがしくなった。
まるで。
私が何を言おうとしているのか、待っているようだった。
「お父さん」
私は居に座るに言った。
「聞きたいことがある」
父は頷いた。
「のことか」
私は驚いた。
「分かっていたの?」
「いつか聞かれるとっていた」
父はちがった。
そして。
奥の部へ向かった。
しばらくして戻ってきた。
には古い通帳があった。
「これだ」
父は机のに置いた。
私は通帳をいた。
そこには。
浩から送られた額と。
同じ額の預が残っていた。
「全部……残っている」
「ああ」
「使ってないの?」
「ああ」
私は父を見た。
「どうして?」
父はし黙った。
そして。
静かに答えた。
「これは俺のじゃないからだ」
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予していなかった答えだった。
「でも、お父さんは受け取っていた」
「ああ」
「だったら、お父さんのおじゃないの?」
父は首を横に振った。
「浩くんは、最初に言った」
『これは美のためのです』
『美が自分で選んだを、最まで守るためのです』
胸が苦しくなった。
父は続けた。
「俺は最初、った」
「った?」
「ああ」
父はくを見るような目をした。
「なぜ俺に渡すのかとった」
「なぜ、おに直接渡さないのかとった」
「でも、浩くんは言った」
『美は、俺たちが勝に何かをしてもばない』
『自分で決めたことじゃないと、きっと受け取らない』
その言葉を聞いた瞬。
私は胸を締め付けられた。
浩は。
私の性格をっていた。
私は昔からそうだった。
誰かに助けられることが苦だった。
同されることが嫌だった。
「丈夫?」
そう聞かれると。
本当は丈夫ではなくても。
「丈夫」
と答えてしまう。
「じゃあ、このおは何のためだったの?」
私は聞いた。
父は通帳を閉じた。
「おが、本当に困ったのためだ」
「病気になった?」
「違う」
父は言った。
「をやり直したいとっただ」
その言葉に。
私は何も言えなかった。
「浩くんは分かっていた」
父は続けた。
「おは、自分がすれば全部解決するとっている」
「だから」
「もし、おがある」
「もう度、自分のを選びたいとった」
「そのだけ使ってほしいと言った」
私は目を伏せた。
をやり直す。
そんなこと。
48歳の私には考えたこともなかった。
若い頃なら。