みかん小説
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"父が守った秘密" 第9話

その言葉は。

昔の父からは像できなかった。

「じゃあ、どうして反対したの?」

父は目を伏せた。

「怖かったからだ」

また。

その言葉だった。

「おが傷つくのが怖かった」

「だから……」

父はさく息を吐いた。

「おが自分で選ぶことまで怖くなった」

私は黙った。

父は続けた。

「美

「親はな」

「子供を守ろうとしているうちに、子供を信じることを忘れる」

胸の奥が痛んだ。

その

父のスマートフォンが鳴った。

画面を見る。

父の表が変わった。

「どうしたの?」

聞くと。

父はし迷ってから言った。

「浩くんの病院からだ」

私は息を止めた。

「病院?」

父は頷いた。

「浩くんがくなるに、預けていたものがあるらしい」

「何を?」

父は答えなかった。

ただ。

静かに言った。

「おが読むべきものだ」

その瞬

私はった。

まだ。

私は夫のすべてをらない。

そして。

に残されたものは。

きっと。

私が番見たくなかったものなのかもしれない。

病院からの連絡を受けた翌

私はで病院へ向かった。

が最に過ごした所。

何度も訪れたはずなのに。

そのは、初めて来た所のようにじた。

受付で名を伝えると、担当の護師さんが現れた。

本さんですね」

「はい」

「ご主から、お預かりしていたものがあります」

そう言って渡されたのは、さな箱だった。

で作られた箱。

見た瞬に分かった。

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父が作るものと似ていた。

角の丸め方。

の質

丁寧だけど、器用な仕がり。

「これは……」

私が呟くと、護師さんは微笑んだ。

「ご主が最に持っていらっしゃったものです」

は?」

「私は確認していません」

「ただ……」

護師さんはし迷ってから言った。

「ご主は何度も言っていました」

「これを渡すが来たら、きっと美さんはるとうって」

胸が痛んだ。

る。

は最まで。

私のことを分かっていた。

私はに帰り、箱を机のに置いた。

すぐにはけなかった。

怖かった。

これ以、何かをってしまったら。

私はもう、昔のように夫を憎むことができなくなる気がした。

議だ。

傷つけられた相を憎み続けることは苦しい。

でも。

その憎しみを失うことも、同じくらい怖い。

なぜなら。

、そのが自分を支えていたから。

私は箱をけた。

に入っていたのは。

冊のノートだった。

そして。

古い写真。

写真には。

若い頃の私。

父。

そして浩が写っていた。

結婚の写真だった。

私はその写真を見て驚いた。

なぜなら。

そこには。

が笑っていたからだ。

私の記憶では。

父と浩は最初から仲が悪かった。

父は彼を認めなかった。

も父を苦にしていた。

そうっていた。

でも。

写真のは違った。

父はし照れた顔で笑っている。

は父の隣で自然にっている。

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では。

いつから変わったのか。

いつから。

私はを敵だとうようになったのか。

ノートをいた。

最初のページ。

の字だった。

『美へ』

『このノートを読む頃、俺はもう隣にいないとう』

涙が落ちた。

でも。

私は読み続けた。

『最初に謝りたい』

『俺は、おっている以だった』

ページをめくる。

『結婚する、俺は逃げようとした』

『父親になることが怖かった』

族を背負うことが怖かった』

そこまでは。

で読んだ内容だった。

しかし。

次の文章で。

私は息を止めた。

『でも、本当に怖かったのは』

『美を幸せにできないことではなかった』

『美に嫌われることだった』

私は眉を寄せた。

『俺はずっとっていた』

『美は俺を選んでくれた』

『だから、俺が失敗したら全部壊れるとっていた』

『でも違った』

『美は、俺に完璧な夫を求めていなかった』

『ただ、緒に悩んでほしかっただけだった』

その言葉を読んだ

胸の奥が苦しくなった。

そうだった。

私は昔から。

答えを求めていたわけではなかった。

助けてほしかったわけでもなかった。

ただ。

緒に考えてほしかった」

それだけだった。

は優しいだった。

でも。

優しいほど。

を傷つけないように黙ることがある。

そして。

その沈黙が。

番孤独にすることもある。

ノートには続きがあった。

『父さん……いや、本さんには謝している』

父のことを。

夫が「父さん」といていた。

その事実に驚いた。

『あのは怖いだった』

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