"父が守った秘密" 第8話
父は完璧な父親ではなかった。
夫も完璧な夫ではなかった。
私だって。
完璧な母親ではない。
はみんな。
誰かを守ろうとして。
々、相を傷つける。
しかし。
そこで終わるか。
違いを認めるか。
それでは変わる。
その。
スマートフォンが鳴った。
真央からだった。
「お母さん」
声がし震えている。
「話したいことがある」
私は嫌な予がした。
「どうしたの?」
し沈黙。
そして娘は言った。
「健さんのことで……」
私は息を止めた。
「私、結婚をし考え直したい」
その言葉を聞いた瞬。
私は理解した。
これは。
の私の話ではない。
今度は。
私の娘のの話だった。
「私、結婚をし考え直したい」
真央の言葉を聞いた瞬。
胸の奥がく締め付けられた。
昔の記憶が気に戻ってきた。
。
父が私に言った言葉。
「その男とは結婚するな」
あのの私は。
父にを奪われるとった。
自分のするを否定されたとった。
そして今。
私は同じ所にっていた。
「何があったの?」
私はできるだけ落ち着いた声で聞いた。
母親として。
配していることを悟られないように。
でも。
真央はすぐには答えなかった。
「健さんね……」
娘はテーブルののコップを見ながら言った。
「結婚したら、仕事を辞めてほしいって」
私は黙った。
予していたものとは違った。
浮気でもない。
暴力でもない。
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きな裏切りでもない。
でも。
なぜか胸の奥に、さな痛みがった。
「理由は?」
「のことをちゃんとしてほしいって」
真央は苦笑した。
「健さんのお母さんも、そうしてきたからって」
その言葉を聞いた瞬。
私は昔の自分をいした。
結婚したばかりの頃。
浩も似たようなことを言った。
「美なら丈夫だろ」
「のこと、任せられるから」
その言葉を、私は当はだとっていた。
頼られているとっていた。
でも。
が経つにつれて。
それは信頼ではなく。
ただの甘えだったと気づいた。
「真央はどうってるの?」
私は聞いた。
娘はし迷った。
「分からない」
その答えがだった。
「好きなの?」
「好き」
「じゃあ?」
「でも……」
真央はさな声で言った。
「結婚したら、私がすることになる気がする」
その言葉を聞いて。
私は何も言えなかった。
なぜなら。
昔の私なら。
きっと同じことを言っていたからだ。
「お母さん」
真央が私を見る。
「お母さんは、お父さんと結婚したこと悔してる?」
答えられなかった。
昔なら。
私は迷わず言っていたかもしれない。
「悔している」
と。
でも今は違った。
浩のを読んだ。
父の気持ちをった。
が完璧ではなかったことをった。
「分からない」
私は正直に答えた。
真央はし驚いた顔をした。
「分からない?」
「うん」
私は頷いた。
「幸せだったもある」
「苦しかったもある」
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「どっちかつだけじゃないとう」
それは。
自分自に言っている言葉でもあった。
「でもね」
私は続けた。
「つだけ言えることがある」
真央が黙って聞いている。
「結婚する相を選ぶ、番事なのは」
「そのが完璧かどうかじゃない」
「自分が苦しいに、そのと話しえるかどうか」
真央の目がし揺れた。
「健さんは、真央が嫌だとったことを聞いてくれる?」
その質問に。
娘はすぐ答えられなかった。
「……聞いてくれるもある」
「も?」
真央は俯いた。
「るわけじゃない」
「でも……」
「最はいつも、私が納得する形になる」
その言葉を聞いた瞬。
私は気づいた。
これは父と私の問題とは違う。
でも。
似ている部分がある。
「正しいことを言う」と。
「相の気持ちを聞ける」は。
同じではない。
その夜。
私は父のへ向かった。
自分でも驚いた。
何か困った。
昔なら番避けていた相のところへ向かっていた。
父は玄関をけた。
し驚いた顔をした。
「どうした」
「聞きたいことがある」
居に入る。
昔なら。
ここに座るだけで緊張した。
でも今は違った。
「お父さん」
私は言った。
「もし私が、あの結婚しなかったら」
父は黙って聞いている。
「私のは変わっていたとう?」
父はしばらく考えた。
そして言った。
「変わっていたとう」
な答えだった。
「良い方向に?」
私が聞くと。
父は首を横に振った。
「分からない」
私はし笑った。
「分からないんだ」
「ああ」
父は言った。
「は、選ばなかったの答えなんて誰にも分からない」