みかん小説
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"父が守った秘密" 第4話

さな箱だった。

父が作ったものだと、すぐ分かった。

角は丸く削られている。

丁寧な仕事だった。

父はその箱を机のに置いた。

「これは、浩くんから預かったものだ」

私は眉をひそめた。

「何?」

けてみろ」

には枚の封筒が入っていた。

私の名かれていた。

本美様。

その文字を見た瞬

息が止まった。

「これは……」

、あいつがいた」

「私に?」

「ああ」

私は封筒をに取った。

でも、すぐにはけられなかった。

なぜなら。

怖かった。

このに何がかれているのか。

ってしまったら。

私が信じてきた過が変わってしまう気がした。

「読め」

父が言った。

「もう隠すはない」

震える指で封をけた。

には、枚の便箋。

い文章だった。

『美へ』

『もしこのを読むが来たなら、俺はもうおの隣にいないのかもしれない』

そこで、私は度読むのを止めた。

胸が苦しくなった。

くなった夫の文字。

もう度と見ることができないとっていた文字。

『俺は、おに言わなかったことがある』

『結婚する、俺は度逃げようとした』

が止まった。

逃げた。

その言葉だけが目に残った。

『おとの未来が怖かった』

『父親になることが怖かった』

『責任を背負う覚悟がなかった』

私は唇を噛んだ。

やっぱり。

そうだったのか。

私はずっとじていた。

は本当ので私を選んでいなかったのではないか。

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しかし。

次の文章で。

私はけなくなった。

『でも、本さんに言われた』

『おを幸せにする覚悟がないなら、最初からしているなんて言うなと』

私は顔をげた。

父を見る。

父は黙っていた。

『あの、俺は初めて分かった』

『美が欲しかったのは、完璧な男じゃない』

『逃げない男だった』

涙が落ちた。

自分でも驚いた。

しい涙なのか。

りの涙なのか。

分からなかった。

『俺はその本さんと約束した』

『もし俺が美を苦しませるようなことをしたら、あなたがってくれ』

『もし俺が先にいなくなったら、美にしないでくれ』

文。

そこだけ、文字がし乱れていた。

まるでいたを抑えられなかったようだった。

『美

『俺は良い夫ではなかったとう』

『何度もおに甘えた』

『おなら丈夫だとって、頼りすぎた』

『でも』

『最まで、お切にっていたことだけは信じてほしい』

私はを閉じた。

が静かだった。

「……じゃあ」

声が震えた。

「お父さんは、全部っていたの?」

父はさく頷いた。

っていた」

「私が、お父さんをんでいたことも?」

「ああ」

「浩さんが私に言えなかったことも?」

「ああ」

「だったら、どうして言わなかったの」

初めて。

私は父を責める声をした。

「どうしても黙っていたの?」

父はしばらく黙っていた。

そして。

さく言った。

「言えば、おは俺を許すとった」

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私は息を止めた。

「俺は……それが嫌だった」

「嫌だった?」

「ああ」

父は俯いた。

「俺は、おに許してほしかったんじゃない」

「……」

「ただ、おがいつか自分の目でるまで待つしかないとった」

私は何も言えなかった。

父は器用だった。

違いなく。

でも。

その器用さのに、私がらなかったものがあった。

帰り

私は夫のをバッグのに入れて歩いた。

でも、気持ちは軽くならなかった。

むしろ。

しい疑問がまれていた。

もし父が本当のことを言っていたなら。

私は

誰を憎んでいたのだろう。

そして。

なぜ夫は最まで。

私にこのことを話さなかったのだろう。

その答えをるには。

まだつ。

見なければならないものが残っていた。

夫の最

私がらなかった

夫のを読んだ翌

私はいつも通り会社へ向かった。

でも、何もかもが違って見えた。

駅までの

見慣れた商

毎朝通る横断歩

まで何ともわなかった景が、どこか所のもののようにじた。

度信じたものを、簡単には捨てられない。

私は、ある物語を信じてきてきた。

父は私を理解しなかった。

夫は私を守ってくれなかった。

だから私は、自分くなるしかなかった。

それが私のだった。

でも。

もし、その物語が違っていたら?

もし私は。

傷つけられただといながら。

本当は誰かの器用な優しさを見落としていただけだったら?

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