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"父が守った秘密" 第3話

は結婚、仕事を優先した。

のことは私任せ。

育児も私任せ。

何か問題が起きても、

「美なら丈夫だろ」

そう言って頼るだけだった。

だから私はっていた。

父も。

夫も。

結局、私のことをとして見ていない。

に判断して。

に期待して。

に私のを決める。

なのに。

そのが。

私のらないところで繋がっていた。

その夜。

私は父のへ向かった。

話だけでは無理だった。

顔を見て聞かなければならなかった。

父のは、昔と何も変わっていなかった。

古いの匂い。

玄関に置かれた作業具。

壁に掛かった、もう使われていない具。

子供の頃はした所だった。

でもになってからは。

なぜかづきたくない所になっていた。

「入れ」

父はく言った。

昔と同じ声。

をあまり表にさない声。

私は靴を脱ぎながらった。

この、何を考えていたのだろう。

のテーブルには、つの湯みが置かれていた。

父は私が来ることを予していたようだった。

「座れ」

私は座らなかった。

「先に聞きたい」

父を見る。

「浩さんは、どうしてお父さんにおを送っていたの?」

父はしばらく黙っていた。

そして、ゆっくり答えた。

「頼んだわけじゃない」

「じゃあ、なぜ受け取ったの?」

父のいた。

節くれだった指。

と向きってきた

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昔なら温かいとったそのを。

私はだとっていた。

「最初は断った」

父が言った。

「何度も返そうとした」

「でも、浩くんが言った」

父は線を落とした。

「これは、俺が払わなきゃいけないものだって」

「何を?」

私の声が震えた。

父はすぐには答えなかった。

その沈黙が怖かった。

のことだ」

父は言った。

「おがまだ、浩くんを信じていた頃のことだ」

私は息を止めた。

「お父さん」

「浩くんはな……」

父はゆっくり顔をげた。

「結婚する度だけ俺のところへ来た」

その瞬

胸の奥に、嫌な予った。

私のらない

私のらない会話。

私のらない浩

父は続けた。

「あいつは言った」

「美を幸せにできる自信がない」

その言葉を聞いた瞬

私はわず笑いそうになった。

しい笑いだった。

「そんなこと……」

私は呟いた。

「今さら?」

父は首を横に振った。

「違う」

「おっているとは違う」

そして父は、に起きた本当の来事を話し始めた。

私がらなかった。

夫が隠していた。

そして父が、黙っていた理由を。

「浩くんはな……結婚する度だけ俺のところへ来た」

父の声は静かだった。

いつもの父の声だった。

を抑えて、必なことだけを話す声。

でも、そのは違って聞こえた。

まるで、胸の奥にしまい続けてきたたい荷物を、ようやくに置こうとしているようだった。

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「何を話したの?」

私は聞いた。

父はすぐには答えなかった。

窓のを見る。

古い造の

庭の隅に植えられた梅の

私が子供の頃から変わらない景

なのに。

今はすべてが違って見えた。

「浩くんは、おと結婚したいと言った」

父が言った。

「でも同に、怖いとも言った」

「怖い?」

「ああ」

父は湯みにを伸ばした。

しかし、には運ばなかった。

「自分が父親になれるのか。夫になれるのか。おを幸せにできるのか」

私は黙って聞いていた。

正直に言えば。

だった。

私の記憶のの浩は、そんな音を吐くではなかった。

いつも静で。

丈夫だと言って。

何でも簡単に考えているように見えた。

「それで?」

私が聞くと、父は答えた。

「俺は反対した」

していた答えだった。

胸の奥がし痛んだ。

やっぱり。

父は昔から変わらない。

自分が正しいとったら、に踏み込む。

「何て言ったの?」

「おを泣かせるなら、最初からづくなと言った」

私はわず笑った。

「やっぱり……」

「何がだ」

「お父さんは、いつもそう」

声がし震えた。

「私の気持ちじゃなくて、相を勝に判断する」

父は反論しなかった。

「そうだ」

父が言った。

「俺は違えた」

その言葉に、私はし驚いた。

父が自分の違いを認めるところなんて、ほとんど見たことがなかったからだ。

「でもな」

父は続けた。

「あの、俺が見ていたものは……おが見ていたものとは違った」

「どういう?」

父はがり、古い棚からつの箱を取りした。

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