"7人の妊娠と密封された患者服" 第9話
《患者――永久保管?》
当。
の分からなかった。
もし誰かが患者を普通の証拠品として扱っていたら。
すでに廃棄されていたかもしれない。
もし条たちが染症という設定を利用しなければ。
特殊な封緘保管にもならなかった。
真実を隠すためについた嘘が。
真実を守る箱を作った。
それが。
事件最の皮肉だった。
数か。
由美はの元受刑者のと、さな喫茶で会った。
事件にきりで会うのは初めてだった。
「テレビ見た?」
「見た」
「自分の顔、ひどかった」
相が笑う。
由美もし笑った。
以なら。
事件について話せば。
すぐ泣いた。
今は。
しだけ普通の会話に来るようになっていた。
「松田さん、まだ帳持ってるんだって」
「15も?」
「捨てられなかったらしいよ」
「執いね」
「いいでね」
は笑った。
窓の。
の差しがを照らしていた。
15。
由美たちはい壁のにいた。
がれているのか。
なのか。
それすら分からない所。
あの夜。
誰も助けに来ないとった。
実際。
助けはあまりにも遅かった。
それでも。
完全に消えたわけではなかった。
の刑事が帳を捨てなかった。
の警備課が最に証拠を残した。
の記者が封筒をいた。
そして。
永久に閉じられたはずの鉄箱ので。
着の患者が。
15。
何も語らず待っていた。
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その袖の奥にあったのは。
直径わずか数センチのカフスボタンだった。
企業も。
財団も。
額な弁護団も。
消せなかった。
さな属片。
由美はコーヒーカップを両で包んだ。
「私ね」
「うん?」
「昔は、真実が分かれば全部元に戻るとってた」
相は黙って聞いた。
「でも戻らないんだよね」
「うん」
「だから、元に戻るためじゃないんだとう」
由美はし考えた。
「嘘のまま終わらせないためだったんだとう」
窓のを。
親子が歩いていった。
由美はその姿を見つめたあと。
静かに目を伏せた。
傷が消えたわけではない。
失ったも戻らない。
それでも。
15押しつけられていた、
《あなたたちが悪かった》
という嘘だけは。
もう背負わなくていい。
をると。
の空気が頬に触れた。
由美はコートの襟をえ。
ゆっくり歩きした。
誰かに引かれるのでも。
誰かに命令されるのでもなく。
自分でく方向を決めて。
15。
密ので封じられた7の声は。
を越えて。
ようやくへ届いた。
そして。
真実を消すために永久密封された患者だけが。
最まで。
その声を忘れていなかった。
あるの。
由美はで父母の墓を訪れた。
所、族との関係が壊れてから、いを運べなかった所だった。墓のへを置き、線にをつけると、由美はしばらく黙って座った。
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「遅くなってごめん」
が々を揺らした。
由美はそこで初めて、15の来事を自分の言葉で最まで話した。
何が起きたのか。
なぜ当は何も言えなかったのか。
誰にも信じてもらえないとっていたこと。
そして、15に証拠が見つかり、自分たちの証言がようやく記録として残ったこと。
「私、嘘ついてなかったよ」
そう言うと、由美はしだけ泣いた。
だが、いつまでも墓に座り続けることはしなかった。
涙を拭き、ちがった。
「もう、この話だけできるのはやめるね」
それは父母へ向けた言葉であり、自分自への言葉でもあった。
帰宅したその夜、由美は押し入れの奥から古い段ボール箱を取りした。
事件に届いた聞記事の切り抜き。
所の類。
病院から渡された。
自分を責める匿名の。
い、捨てることが来ずに残していたものだった。
由美は枚ずつ確認した。
必な公類だけを残し、それ以はゴミ袋へ入れていった。
途でが止まった。
15の事件を扱った聞記事。
《女性受刑者7の解な妊娠》
その見しをしばらく見つめる。
以なら、それを読むだけで胸が苦しくなった。
だが由美は記事をつに折った。
さらにもう度折る。
そして袋のへ入れた。
翌朝。
自分のでゴミ置きまで持っていった。
何かが突然消えたわけではない。
記憶も残っている。
傷もある。
けれど。
必のないものを、自分で捨てることは来た。
数、由美は川へ話した。