"四十九日の780万円" 第3話
元もらない。ただ母親から言われた額を払い続けているだけだった。
翌の昼休み、僕は彩へLINEを送った。
《美波さん本と度話したい》
返信が来たのは夕方だった。
《やめた方がいいとう》
《どうして?》
《お母さんが絶対る》
スマートフォンの画面を見ながら、僕はため息をついた。
このでは、借が本当にするか、美波が何をしたのか、780万円という数字に根拠があるのかより先に、「母親がるかどうか」が問題になるらしい。
その夜、さらに妙な事実をった。
「私、お姉ちゃんの連絡先らないんだ」
「本当に?」
「番号も変わったみたい。所も横浜ってことしからない」
「じゃあ振込座は?」
「お母さんが座番号だけ持ってる」
絶縁した相。所も話番号もらない。それでも毎、だけは送り続ける。
「返済が終わった、どうやって美波さんと確認するの?」
彩は答えられなかった。
数、義父の会社を理するため、僕は裕太と古い事務所へ向かった。見積や事写真、具メーカーのカタログなど、孝志が何も溜めてきた類をで段ボールへ分けていく。
番の引きしをけると、古い通帳が何冊か入った封筒がてきた。
「これ、捨てていい?」
裕太がを覗き込み、し表を変えた。
「会社の昔の通帳かも。母さんに聞く」
僕はそのに表だけ確認した。
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会社座、孝志名義の個座。そして冊だけ、違う名の通帳が混じっていた。
《森美波》
旧姓代の美波の通帳だった。
「何で美波さんの通帳がここにあるの?」
裕太は何も答えない。
記帳は7で止まっていた。最の残は1,284,613円。そのしには、会社座から美波名義の座へ何度もが振り込まれている。
100万円。200万円。50万円。
そして、度だけ600万円というきな入があった。
800万円を盗み、会社から逃げたの通帳が、なぜ父の机に残っているのか。しかも、会社側から美波へ何度もが振り込まれている。
「裕太」
「何?」
「美波さん、本当に800万円盗ったのか?」
裕太はしばらく黙っていた。
「俺も……母さんからそう聞いてるだけ」
初めて、義弟の声にも迷いが混じった。
美波名義の通帳を見つけたことを佐子へ伝えると、義母はそののうちに会社へやって来た。
「昔のことを勝に調べないで」
事務所へ入るなりそう言われたが、僕は通帳をすぐには渡さなかった。
「お義母さん、美波さんは本当に会社から800万円を盗ったんですか?」
佐子の顔が張った。
「彩から聞いたんでしょう?」
「聞きました」
「だったら、それで分よ」
「分じゃありません。僕に780万円払えと言っているんですから」
声を荒らげるつもりはなかった。ただ、ここで引けば僕も彩と同じように、何の説もないを何も払い続けることになる。
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「誰から、何のために、最初はいくら借りて、今いくら残っているのか。それを確認したいだけです」
佐子は数秒黙ったあと、い声で答えた。
「孝志さんが美波から借りたおよ」
「最初はいくらですか?」
「昔のことだから正確には覚えてないわ」
「今の残780万円は?」
「私が計算してる」
「美波さん本と確認していますか?」
佐子は答えなかった。
「だったら度、税理士さんか弁護士さんに見てもらいませんか?」
その瞬、義母の表が変わった。
「族のことにを入れるつもり?」
「780万円なら、第者を入れて確認していい額だといます」
「私たちを棒扱いしてるの?」
「していません」
「同じでしょう!」
佐子は通帳を奪うように受け取ると、そのまま帰っていった。
その夜、彩のスマートフォンへ母親からい話がかかってきた。
《あなたの旦さんは族を疑っている》
《孝志さんがくなったばかりなのに、会社のおを調べ回っている》
《あんなだとわなかった》
話を切った彩は、疲れ切った顔でソファへ腰をろした。
「亮平、しだけやめてもらえない?」
「何を?」
「調べるの。お母さん、お父さんがくなってから精神にも定だから」
僕は妻を見た。
「じゃあ780万円払う?」
「そういうじゃないよ」
「毎8万円払って、そのは何の借なのか聞かない。それと同じことだよ」
彩は何も言えず、線を落とした。
僕も妻を追い詰めたいわけではなかった。