"四十九日の780万円" 第2話
くなった義父の名をされ、胸の奥がえた。孝志には結婚当初からよくしてもらい、仕事で悩んだには酒をみながら話を聞いてもらったこともある。
だからこそ、故の名を使って僕を従わせようとする言い方が、番だった。
帰りのでは、10分以どちらもをかなかった。助席の彩が先に沈黙を破ったのは、実からかなりれてからだった。
「ってるよね」
「彩は毎いくら払ってるの?」
彩は窓のを見たまま答えた。
「7万円」
僕はわず妻の横顔を見た。
「毎?」
「うん」
「いつから?」
「3くらいから」
胸ので数字を計算した。7万円なら84万円。3なら250万円を超える。
「そんなの、回も聞いてない」
「私の料から払ってたから、亮平には迷惑かけてないとってた」
彩は病院で医療事務をしている。僕たちは毎同額を活費用の座へ入れ、それ以のは基本に各自で管理していたため、彩個の座から毎7万円が消えていても僕には分からなかった。
「何のために払ってたの?」
「お父さんが昔、族のために作った借だって聞いてた」
彩はそこで言葉を切った。
「それに……お姉ちゃんのこともあるから」
「お姉ちゃん?」
僕はわず聞き返した。彩には弟しかいないと、結婚するからずっとっていた。
妻の顔が固まった。
「私、姉がいるの」
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「何で今まで度も聞いたことないの?」
「7から、族じゃないことになってるから」
その夜、彩は返済に使っている通帳を僕へ見せた。毎7万円ずつ振り込まれ、同じに裕太から2万円や3万円、佐子から5万円ほど入っているもある。
確かに、見すると族全員で借を返しているように見えた。
ところが、振込先の名義を確認した瞬、僕の指が止まった。
《サカキバラ ミナミ》
「このが、おを貸した?」
彩が黙って頷いた。
「誰?」
「姉」
7に絶縁したという姉。所も話番号もらず、今では族ではないとまで言われている女性へ、森は毎欠かさずだけを送り続けていた。
彩の姉・榊原美波は38歳で、現は横浜にんでいるらしい。結婚したため姓は変わっているが、森とは7からほぼ完全に連絡を絶っているという。
翌の夜、僕が何があったのか尋ねると、彩は何度も言葉を選びながら話し始めた。
美波は学卒業、方に勤めていた。父・孝志の会社の経営が苦しくなった10ほど、族を助けるため自分の貯から500万円ほどし、そのも何度か会社へを貸したことがあったという。
「そんなに?」
「お姉ちゃん、昔から貯してたから」
そこまで聞けば、むしろ族いの女だったようにじる。
ところが7、美波自の結婚が決まった。
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居購入のため、それまで会社へ貸していたを返してほしいと父へ頼んだところ、返済額を巡って両親と激しく揉めたらしい。
「それで最に、お姉ちゃんが会社の座から勝におをかしたって聞いた」
「いくら?」
「800万円くらい」
「盗ったってこと?」
彩はすぐには答えなかった。
「お母さんは、そう言ってた」
「お義父さんは?」
またしが空いた。
「お父さんは……お姉ちゃんの悪、ほとんど言わなかった」
その言葉が妙に引っかかった。本当に娘が会社から800万円を盗んだのなら、父親が最まで何も言わないというのは自然にえた。
「警察には届けなかったの?」
「族だから、そこまではしなかったって聞いた」
「じゃあ、どうして絶縁した美波さんへ今もおを払ってるの?」
彩の説によれば、美波が持ちしたとされる800万円とは別に、森が美波から正当に借りたも残っているという。つまり、美波は族へ額のを貸した方、最には800万円を勝に持ちしたため絶縁されたが、正当な借の残債だけは今も返済している、という話だった。
応、理屈は通っている。だが、聞けば聞くほど疑問が増えた。
「借用は?」
「見たことない」
「最初にいくら借りたの?」
「分からない」
「780万円って誰が計算した?」
「お母さん」
「美波さん本と残を確認したことは?」
彩は黙った。
ないのだ。
3も毎7万円を払っているのに、債権者本と度も話したことがない。借用も見ていない。