"四十九日の780万円" 第1話
「亮平さん、来から毎8万円ずつお願いね。ボーナスのは20万円にしてあるから、これなら7もかからず終わるでしょう」
義父・森孝志の法が終わったの夕方だった。親戚が帰ったばかりの居には、まだ線と仕し料理の匂いが残り、座卓の端には空になった弁当箱がねられている。その静かな部で、義母の佐子は35歳の僕、亮平のへ枚のを差しした。
の部には《返済予定表》と印刷されていた。最初は義父が残した会社関係の類かとったが、借入残の欄を見た瞬、僕の目はそこで止まった。
《借入残 7,800,000円》
さらに、そのの返済者欄には《亮平》と、はっきり僕の名がかれている。
「すみません。これは何の返済ですか?」
聞き返すと、61歳の佐子はそうに眉をげた。まるで、今まで何の説も受けていなかった僕の方がおかしいと言いたげな表だった。
「お父さんが残したの借よ。孝志さんがくなったんだから、これからは彩の旦さんである亮平さんにも負担してもらわないと困るでしょう」
僕は隣に座る妻・彩を見た。32歳の彩は膝ので両をく握りわせ、母親と目をわせないように俯いている。
「彩、ってたの?」
夫に名を呼ばれ、彩はようやく顔をげた。
「借が残ってることはってた。
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でも、亮平に780万円全部返してもらうなんて話までは聞いてないよ」
「全部じゃないわよ」
佐子がすぐに割って入った。
「彩だって今まで毎払ってきたでしょう。裕太もせるはしているし、私も払ってる。族みんなで返してきたおなの。ただ、これから番定した収入があるのが亮平さんだから、その分めにお願いしたいだけよ」
説を聞いても、僕には何つ納得できなかった。義父は64歳でくなるまでさな内装事会社を営んでいたが、会社に780万円もの負債が残っているとは度も聞いたことがない。
そもそも僕は森の会社に勤めているわけでも、義父の事業を継いだわけでもなかった。都内の医療器メーカーで営業職をしており、彩とは結婚5目になるが、僕たちは義実からで40分ほどれたマンションで暮らしている。
「お義父さんの会社の借なら、相続のに理されているんじゃないですか?」
「会社の借というより、族の借なの」
佐子の調がしくなった。
「昔、が番変だったに助けてもらったおだから、借りたものはきちんと返す。それが普通でしょう」
「誰から借りたんですか?」
その瞬、佐子は黙った。ほんの数秒だったが、僕にはその沈黙が妙に引っかかった。
代わりに、座卓の反対側にいた29歳の義弟・裕太が面倒そうにを挟んだ。
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裕太は父の会社を伝っていたが、孝志がくなってから廃業の準備をしており、現は別の仕事を探しているという。
「兄さん、今そんな細かいこと聞かなくてもいいじゃん。父さんのなんだよ」
「780万円の話が細かいのか?」
「今全部払えって言われてるわけじゃないだろ。族でしずつ返すだけじゃん」
裕太まで同じ考えらしい。僕はもう度彩を見ると、妻はさな声で「帰ってから話そう」と言った。
その言を聞いた瞬、僕は確信した。このにいる4のうち、本当に何もらないのは僕だけなのだ。
しかも、佐子の求はそれだけではなかった。
「それと、来から亮平さんのボーナス用の座は、私が管理した方がいいとうの。毎回振り込んでもらうより、その方がお互い楽でしょう?」
「……僕の座を、お義母さんが管理するんですか?」
「返済が終わるまでよ。族同士で疑う必なんてないでしょう」
わず乾いた笑いがた。そもそも僕は返済を承した覚えすらないのに、話だけが勝に先へんでいる。
「それは無理です。自分の座は自分で管理します」
佐子の表が険しくなった。
「彩から聞いていた印象と随分違うのね。もっと族を切にするだとってた」
「族を切にすることと、説もない780万円を払うことは別だといます」
「孝志さんがきていたら、そんなたい言い方はしなかったでしょうね」