"花嫁が僕を犯人にした朝" 第10話
類は、よくある協議婚と損害の精算だった。
圭介は最まで、父の計画を自分は詳しくらなかったと主張した。それは事実かもしれない。しかし奈緒にとっては、らなかったことより、ろうとしなかったことが答えになった。
ある、堀から僕へ、さな仕事の相談が届いた。奈緒が、切ったドレスの部を買い取り、別の形へ直したいと言っているという。
「結婚式の記に残したいんですか」
「本は、そうではないと言っています。会って聞いてもらえますか」
ホテルの所物だったドレスは、弁償に奈緒へ渡されていた。裾は部業者が修復したものの、切断した部分のレースが交換され、元の布が袋に入れて残されている。
奈緒は、そのレースを使ってさなバッグを作ってほしいと頼んだ。
「捨てればいいといます」
僕は率直に言った。
「見るたび、あののことをいしますよ」
「忘れたくないんです。被害者だったことだけじゃなく、私が朝倉さんを傷つけたことも」
「罪悪を持ち歩くためのバッグなら、僕は作りたくありません」
奈緒はし考えた。
「では、自分で作ります。作り方だけ教えてください」
僕はにったが、引き受けた。ホテルの仕事ではなく、休に澄が使う劇団の作業を借りた。奈緒はミシンをほとんど使ったことがなく、最初の縫い目はきく曲がった。
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以の僕なら、見かねて代わっただろう。今回は、糸をほどく方法だけ見せ、をさなかった。
奈緒は度縫い直した。レースの切断面は完全には隠れず、バッグの片側に斜めの線として残った。
「ここへ別の飾りをつければ、見えなくできます」
「このままでいいです」
「に聞かれますよ」
「全部説する必はありません。でも、隠すためにまた何かをねるのは、もうやめたいです」
作業の途、奈緒は婚の活を話した。職では旧姓へ戻り、営業事務をしている。母のの借を伝うことはやめた。母とは事をするが、銭の相談にはそので答えず、度持ち帰る。
「圭介さんを嫌いになりましたか」
澄が慮なく尋ねた。
奈緒は首を振った。
「嫌いだけなら、もっと楽だったといます。今でも、優しかったをいします。でも緒には暮らせません」
好きだった事実と、れる選択は両する。僕はそれを聞き、し救われた。許さないことと、憎み続けることも同じではないのかもしれない。
バッグが完成した、縫い目は揃いで、商品として売れる来ではなかった。奈緒は嬉しそうに肩へ掛けた。
「朝倉さん、あの、どうしてすぐ私が切ったと言わなかったんですか」
「あなたを守りたかったからだとっていました。でも本当は、僕が悪者になれば話が単純になることに慣れていたんです。
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自分で説し、相にられる方が怖かった」
「私たち、似ていたんですね」
その言葉には同できなかった。
「似ている部分はあった。でも、したことの責任まで同じにはしません」
奈緒は瞬驚き、それからうなずいた。
成とは、誰とでも分かりえるようになることではない。違いを残したまま、相にも自分にも、同じさの責任を返せるようになることなのだとった。
、僕はホテルの装を辞めた。
事件が原因で追いされたのではない。会社からは主任への昇格も打診された。けれど、澄の劇団装を伝い、個から古い礼の修復を頼まれるうちに、婚礼のだけで終わらないの仕事をしたいとうようになった。
僕は澄とさな修復をいた。駅から分、元クリーニングの狭い物件で、表には《朝倉リペア》とだけいた。ウェディングドレス、台装、親から譲られたスーツ、サイズがわなくなったワンピース。品のように戻すことだけを目にせず、残したい傷や変えたい形を持ち主と決めるだった。
独は、隠していた才能が突然評価された成功物語ではなかった。最初の半は依頼がなく、ホテル代の貯が減った。澄と見積もりをめぐって何度も争い、僕は技術料をくしすぎると叱られた。
「困っているからく取れない」