"臨月の妻に親族30人分の法事料理を作らせていた母" 第5話
そして由美の体力を限界まで搾取して、30分の料理を作らせたのだ。
これはもう単なる悪や節約などではない。
由美の命を削って自分を着飾ったのと同じだ。
私は握りしめた領収をスマホで何枚も撮し、元の引きしに静かに戻した。
この写真はの法事で母の嘘を暴く決定な証拠になる。
翌朝午7、私が居のソファで座っていると、母があくびをしながら起きてきた。
「あら、いつ帰ってきたのよ」
母の言葉には息子への気遣いも、倒れた由美への配も切ない。
まるでちょっとコンビニにかけていたに声をかけるような軽さである。
私は母を見つめながらく答えた。
「夜に帰りました。由美はまだ病院です」
母はあからさまに嫌な顔になり、舌打ちをした。
「本当にげさな嫁ね。ちょっと疲れたくらいで入院なんて、みんなに迷惑をかけて」
母は自分が悪者になることなど微も考えていない。
「それで料理はどうするのよ?もうすぐ親戚のみんなが来るのよ」
私は静かにちがり、母を真っ直ぐに見つめた。
「料理なら僕が全て配しました。配いりません」
母は顔を真っ赤にして、かんい声で鳴った。
「配したって、まさかスーパーのいお惣菜じゃないでしょうね。そんなものをしたら私の顔にを塗ることになるわよ」
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私が晩、由美の残した汁を使って30分の煮物を作っていたことなどる由もない。
私は何も答えず、ただ母の首元を見つめていた。
そこにはまだパジャマ姿だというのに、しい真珠のネックレスがっていた。
9万8000円の美しい真珠である。
由美の涙と痛みの結晶が、母の首元でたく輝いていた。
「派なネックレスですね。よくお似いです」
私がわざとそう言うと、母は瞬だけビクッと肩を揺らした。
しかしすぐに得げな笑みを浮かべて真珠に触れた。
「ええ、そうでしょう。お父さんの回忌だもの。ちゃんとしたものをにつけないと親戚に笑われるからね」
母は私を瞥してで笑った。
「由美さんとは違うのよ」
嘘だ。
連れ添った父への弔など、母にはどうでもいいのだ。
親族ので自分が1番派に見えること、ただそれだけがこの女の目なのである。
私は込みげてくる吐き気をみ込みながらさく頷いた。
「そうですね。今の法事はきっと特別なものになりますよ」
私の言葉の本当のに、母は全く気づいていなかった。
母は嫌でをいながら、喪の着替えを始めた。
午10、玄関のチャイムが々しく鳴り響いた。
親族30の到着を告げる最初の図である。
母は完璧な未の顔を作り、鏡ので泣き顔の練習をしていた。
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私はポケットのにある由美の計簿ノートに触れた。
そしてもう1つのポケットに入れた、ある類の触を確かめた。
母はまだ気づいていない。
自分が首を絞められるが、もう目のまで来ていることに。
玄関のドアをけた、そこにっていた物の顔を見て私は静かにをげた。
「よく来てくださいました」
1番乗りでやってきたのは、昨夜話で話をした修おじさんだった。
おじさんの鋭い線が、奥からてきた母の真珠のネックレスをたく見据えていた。
「よく来てくれましたね、修さん。くなった夫もさぞんでいるといますわ」
玄関で母はハンカチで目を押さえながら、修おじさんにくをげた。
その首にはキラキラとるのブレスレットが揺れている。
首元には先ほど私が見つけた領収と同じ、9万8000円の真珠のネックレス。
劇の未を演じるその姿は、あまりにも滑稽だった。
修おじさんは靴を脱ぎながら、い声でそう言った。
「義姉さん、随分と派な真珠ですね」
鋭い線が母の首元を射抜いている。
母はしも悪びれる様子もなく、自げに真珠に触れた。
「ええ、夫が残してくれた切なおですからね。回忌くらいはきちんとなりをえて迎えないと、夫に申し訳なくて」
嘘ばかりだ。
母は私が渡した由美のための仕し弁当代で、それを買ったのだ。
修おじさんは私と瞬だけ目をわせ、さく頷いた。