"臨月の妻に親族30人分の法事料理を作らせていた母" 第2話
しかし今回の法事は父の回忌であり、どうしても実に顔をさなければならない。
数、由美は優しく笑って私に言った。
「お義父さんのためだもの。私、しだけお伝いにくね」
その優しいにつけ込んで、母は由美を奴隷のようにこき使ったのだ。
30分、処置のドアがき、疲れ切った表の医師がてきた。
私は弾かれたようにちがった。
「先、妻と子供は……」
医師は静かに私の顔を見た。
「母子ともに命に別状はありません」
私はきく息をついた。
「しかし、極度の疲労と脱症状を起こしています。あとし発見が遅れていたら危険な状態でした」
医師の言葉に、私はそのにへたり込みそうになるほどの堵を覚えた。
今はこのまま入院させると聞き、私はくをげた。
こぼれそうになる涙を必にこらえた。
医師の許をもらい、病に入ると由美は点滴を受けながら静かに眠っていた。
穏やかな寝顔を見て、私はそっと彼女のを握った。
荒れた指先が、彼女がどれだけ無理をしていたかを物語っている。
その、由美の横に置かれたトートバッグから何かがに落ちた。
拾いげてみると、それはさな茶いノートだった。
ノートの隙からはスーパーのレシートが何枚もはみしている。
私は見てはいけないといつつも、そのノートのページをいてしまった。
広告
そこには由美の丁寧な字で、々の買い物メモがかれていた。
1円単位で細かく計算された計簿だった。
由美は私に負担をかけまいと、必にやりくりしてくれていたのだ。
しかしページをめくるうちに、私のの震えはりへと変わっていった。
法事の準備に関するページをいた、私の目はある文に釘付けになった。
『お義母さんから法事の料理として1万円だけ渡された。30分の材料費には全然りない』
さらに次のにはこうかれていた。
『私のお遣いから3万円をして買い物へった。お義母さんにお弁当を頼まないのか聞いたら、仕しなんて勿体ない、嫁のあなたが作るのが当たりでしょうと言われた』
私は息を呑んだ。
私が母に渡した仕し弁当代の10万円はどこへったのか。
母は初めから弁当など頼む気はなかったのだ。
私が渡したおを自分の懐に入れ、さらに由美からおをさせ、労働力まで搾取していた。
ノートの最のページには震える字でこうかれていた。
『お腹が張って痛い。でも休ませて欲しいと言ったらお義母さんに舌打ちされた。健さん、く帰ってきて』
私はノートを閉じ、目をぎゅっとつむった。
由美は私に配をかけまいと、話でもこの痛みを隠していたのだ。
自分と子供の命が危ない状態になっても、男の嫁としての責任を果たそうとしていた。
広告
対して母は、自分の見栄とのために由美を見殺しにしようとした。
これはもう単なる嫁姑問題ではない。
な悪であり、暴力である。
私は病の窓のを見つめた。
すっかり暗くなった空にのかりがたくっている。
私はスマホを取りし、話帳のからある物の名を探した。
は親族30が集まる父の回忌である。
母にとっては自分が派な未であり、を取り仕切る素らしい母親であることを親族に見せつける最のれ台だろう。
ならばその最の台を、母にとって最悪の処刑にしてやる。
私が台所で母に向かって言いかけた言葉の続き。
『ただしは……』
その続きを実するが来た。
私は静かに話の通話ボタンを押した。
呼びし音が数回鳴った、話の向こうでい男性の声が答えた。
「健か、どうした。こんな夜遅くにの準備で何かトラブルか?」
聞こえてきたのは、き父の弟である修おじさんの声だった。
おじさんはの法事で親族側のまとめ役をしてくれている。
私はく息を吸い込み、できるだけを抑えて話し始めた。
「夜分にすみません。実は由美が倒れて今病院にいます」
話越しでも分かるほど、おじさんの声がねがった。
「なんだって。由美ちゃんは丈夫なのか?お腹の子供は」