"遺産は腐った倉庫だけ" 第6話
昼休み、学の入学続きサイトを何度もいたが、払えるは増えなかった。
午5、赤い表示が消えた。
帰宅すると、千恵は机に向かって英語の参考をいていた。納付は透なファイルに入れられ、引きしの番奥にしまわれていた。
机の横には、コンビニの与細と、千恵名義の通帳が置かれていた。残は14万6320円。3になってから、模試代や交通費を自分で払い、それでも残しただった。
「これもせば、しはしになるとったんだけどね」
千恵は通帳を閉じた。
「お母さんに計算してもらったら、入学したあとの授業料も実習費もある。最初の82万円だけ無理して払っても、続かないから」
「来使うかもしれないから、捨てないでおく」
千恵はそう言った。
浩司は背を向け、濡れた作業靴をそろえるふりをした。
その夜、父のの相談をするため、兄へもう度メッセージを送った。
〈曜、父さんの仏壇にをわせたい。お供えも用する。何ならに入れる〉
返事はなかった。
翌朝、苗が台所でスマートフォンを見せた。美咲のSNSが更されていた。
空港のラウンジで、裕と美咲がシャンパンのグラスを掲げている。
写真には、こうかれていた。
〈から夫婦での島へ。頑張った私たちへの相続記旅〉
第6話 父のいない
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曜の朝、苗は父の好物だった筑煮を作った。
鶏肉はさく、里芋は箸で崩れるほど柔らかく煮た。噛む力がくなった父のために、8そうしてきたからだ。
浩司はと線をに積み、千恵は父が好きだった栗ようかんを袋に入れた。
武田へ着くと、玄関のに黒い型が止まっていた。裕が旅鞄を荷へ押し込み、美咲は品らしいいコートを着ていた。
「ちょうどよかった。のことで話がある」
浩司が声をかけると、裕は腕計を見た。
「今から空港なんだ。帰ってからにしてくれ」
「今は父さんのだ。せめて仏壇にをわせたい」
「寺には来まとめて頼む。なんてずれても同じだろ」
「同じじゃない」
美咲が助席の扉をけながら、ため息をついた。
「お義父さんがくなってから、あなたたち急にね。遺産をもらえなかったから、今さら孝しているように見せたいの?」
苗のので、筑煮の箱がわずかに傾いた。
浩司はそれを支え、兄を見た。
「父さんを8介護したのは、遺産のためじゃない。おはっているはずだ」
「だから何だ。親の面倒を見たから相続が増えるなんて法律はない。遺言には、も仏壇も俺が継ぐといてあった」
「仏壇まで、おの所物なのか」
「なくとものにある。
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勝に入られたら困る」
裕は玄関の鍵をかけた。浩司が持ってきたを見ても、受け取ろうとはしなかった。
「供え物だけ置かせてくれ」
「旅に傷んだら、が臭くなるでしょ」
美咲はに乗り込み、窓越しに言った。
「倉庫をもらったんだから、そっちで好きにやれば?」
裕も運転席へ乗った。
黒いは、3をのに残してりった。
かつて浩司は、父の通院に使うためを借りたいと兄に頼んだことがある。仕事に必だからと断られ、のもタクシーを呼んだ。そのが今、父の預で買い替えられた旅鞄を載せてざかっていく。
千恵が閉ざされた玄関を見つめた。
「おじいちゃん、にいるのにね」
浩司は答えられなかった。
3はそのまま倉庫へ向かった。
錆びたシャッターをげると、たい空気と油の匂いが流れした。苗は父の古い作業台を布で拭き、いを敷いた。、栗ようかん、筑煮を並べる。千恵はスマートフォンをて、父と緒に撮った写真を画面に表示した。
兄夫婦に持っていかれた写真と同じ、千恵が自分のスマートフォンでも撮っていたものだった。
画面ので、父は痩せたを千恵の肩に置き、しだけ笑っていた。
浩司は止まった腕計を写真のに置いた。
「仏壇じゃなくて悪いな、父さん」
線の細い煙が、倉庫の暗い井へがっていった。
苗が筑煮を皿に取り分ける。浩司は無識に、鶏肉を箸でさらにさくほぐしていた。