"山に捨てられた妻は立ち上がる" 第7話
「もう度お願いします」
「休みましょう。無理をすれば逆に遅れます」
「あと1回だけ」
美咲は佳奈の目を見てから、再び腰へを回した。
訓練が終わる頃には患者が汗で濡れ、両腕が震えていた。それでも病へ戻ると、佳奈は鏡で表を確認した。健が来るに呼吸をえ、目の焦点をぼかし、力の抜けたをシーツのへ置く。
夫が病へ入ったには、昨までと同じ無力な患者へ戻っていた。
健は何度か浦へ治療状況を尋ねたが、回答を断られていた。
「夫婦なのに、俺には説できないと言うんだ。おかしいとわないか」
佳奈ので満を漏らしながら、健は彼女が答えられないことを確かめるように顔をづけた。
「おが俺に話していいと言えば済むんだぞ」
佳奈は焦点のわない目で健を見返したあと、が分からないふりをして線を落とした。
「まだ言葉も理解できないのか」
健の声には、配より堵がにじんでいた。
「今は静かだな」
健は佳奈の顔を見てしたように笑った。
その、彼はいつもよりく帰った。しかし20分、忘れた財布を取りに戻ってきた。
佳奈はベッド脇の子へ移る練習をしているところだった。廊から健の声が聞こえた瞬、美咲が子を押し、佳奈をベッドへ戻した。
布団を掛け終わった直、ドアがいた。
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「まだリハビリのが来てるのか」
健の線が、美咲の顔から佳奈の汗ばんだ額へ移った。
「拘縮を防ぐための関節運です」
美咲は嘘をつかなかった。今の説も治療の部だった。
健は佳奈のを布団のからく押した。佳奈は痛みをじたが、顔をかさなかった。
「こんなことを続けても歩けないだろ」
「回復の程度を決めるのは、私ではありません」
美咲が静かに答えると、健は舌打ちし、ソファに置いた財布をつかんだ。
「本が拒否している類もある。余計な期待を持たせて、転倒でもしたら病院の責任だからな」
美咲は健から目をそらさなかった。
「鈴さんは、私たちので確に治療を希望されています」
その返事に、健のが止まった。
佳奈はすぐにくをき、のない音を漏らした。会話ができるほど回復していないと見せるためだった。健はしばらく妻を見たあと、美咲の聞き違いだと自分に言い聞かせるように笑った。
その、彼のスマートフォンが点灯した。
《玲奈:末までに処理して。これ以待てない》
画面を見た健は、すぐに通を消した。
だが、ベッドので焦点を失っているように見えた佳奈は、その文を最まで読んでいた。
第7話 病棟の休憩
それから半が過ぎた。
佳奈は平棒につかまれば、20秒ほど位を保てるようになっていた。
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まだで歩くことはできず、の覚にも波がある。それでも半の力は戻り、ベッドから子への移乗なら見守りだけでえる。
健には何も見せなかった。
夫が来るに訓練を終え、面会は首を傾けて眠ったふりを続けた。健は佳奈の回復を疑うより、自分の計画が順調にんでいると信じたがっていた。
ある夜、健は面会終刻を過ぎても帰らなかった。
ソファに座り、何度も計とスマートフォンを確認している。2240分、いメッセージが届くと、元に笑みを浮かべてちがった。
佳奈の顔を度確認し、音をてないように病をていく。
佳奈はすぐにはかなかった。廊の音がざかるまで30秒待ち、さらにエレベーターの到着音が鳴らないことを確認した。
健はの階へったのではない。この階のどこかで、誰かと会うつもりだ。
佳奈は枕元のスマートフォンを患者のポケットへ入れ、ベッド脇の子へ移った。腕で体を持ちげ、移乗板のを滑る。がへ落ちそうになったが、両で膝を持ちげ、フットサポートへ載せた。
廊へると、夜照の先に健の背が見えた。そのを、濃紺のスーツを着た女が歩いている。
玲奈だった。
2は病棟の端にある族休憩へ入った。ガラス戸は完全には閉まらず、わずかな隙が残っている。
佳奈は子のハンドリムをゆっくり回し、廊の角までんだ。